高松高等裁判所 平成10年(行コ)2号 判決 1998年4月28日
控訴人
宮脇建太郎
右訴訟代理人弁護士
山本卓
控訴人
山本卓
被控訴人
高知市建築主事
山崎宏明
右訴訟代理人弁護士
松岡章雄
主文
一 本件控訴をいずれも棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
一 控訴人らは「原判決を取消す。被控訴人が平成九年高知市建築確認第H〇九認建高知〇〇〇四〇九号と平成九年高知市建築確認第H〇九認一高知〇〇〇〇〇四号とをもって、株式会社四国ツルカメに対して行った各建築確認処分を取消す。訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は主文同旨の判決を求めた。
二 本件事案の概要は、原判決の「事実及び理由」欄の「第二 事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。
三 証拠関係は原審の証拠関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。
理由
一 当裁判所も、本訴において控訴人らに原告適格はないと考えるが、その理由は、次のとおり付加するほかは原判決の「事実及び理由」欄の「第三 当裁判所の判断」の項に記載のとおりであるから、これを引用する。
原判決二六頁七行目の末尾に改行のうえ、次を加える。
「(六) 控訴人らは、控訴人らが本件で求めている司法判断は、本件建物が建築基準法により、第一種中高層住居専用地域内において建築が認められた「公衆浴場」に該当するか否かの判断であり、控訴人らが本件建物が建築されることによって受ける騒音、排気ガスによる被害、交通の危険、安眠妨害等が建築基準法及びこの関連法規によって、具体的に制限する規定を置いているかどうかとは無関係であるから、控訴人らが本件で求めている司法判断については、原告適格を有する旨主張する。しかしながら、控訴人らが本件建物が建築されることによって受けると主張する騒音、排気ガスによる被害、交通の危険、安眠妨害等に関し、建築基準法及びこの関連法規において、具体的な制限基準を設けていない以上、反射的利益を超えて個人的な利益として保障しているとは解されないところであって、本件については控訴人らに原告適格はなく、公衆浴場の解釈の問題は、原告適格の有無とは関係がないというべきである。
二 よって、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき、民事訴訟法六七条一項、六一条を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大石貢二 裁判官 溝淵勝 裁判官 重吉理美)