高松高等裁判所 平成14年(行コ)12号 判決 2006年1月30日
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
第2事案の概要
1 事案の骨子
被控訴人は、徳島県知事から、別紙1記載の産業廃棄物処理施設(以下「本件産業廃棄物処理施設」という。)について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成9年法律第85号による改正前のもの。以下「廃棄物処理法」という。)15条1項所定の設置許可(以下「本件設置許可処分」という。)を受けた。
ところが、その後、控訴人から、本件産業廃棄物処理施設を阿南市水道水源保護条例(平成7年阿南市条例第1号。以下「本件条例」という。)に定める規制対象事業場(以下「規制対象事業場」という。)と認定する旨の処分(以下「本件事業場認定処分」という。)を受けたため、本件産業廃棄物処理施設を設置できなくなった。
本件は、被控訴人が、<1>本件条例は違法、無効であるので、そのような違法、無効な条例に基づく本件事業場認定処分も違法、無効である、<2>本件事業場認定処分は手続的、実体的に違法であると主張して、控訴人に対し、本件事業場認定処分の取消しを求めた事案である。
2 争いのない事実
(1) 被控訴人は、産業廃棄物及び一般廃棄物の処理等を業とする株式会社である。控訴人は、地方公営企業法8条2項により、本件条例に定める水道事業管理者の権限を行う者である。
(2) 本件産業廃棄物処理施設(別紙3参照)は、廃棄物処理法施行令(平成9年12月10日号外政令第353号による改正前のもの。以下同じ。)7条14号ハに掲げる産業廃棄物の最終処分場であり、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(平成10年総理府・厚生省令第2号による改正前のもの。以下「技術基準命令」という。)2条1項4号において、「管理型最終処分場」と称されているものである。
(3) 被控訴人は、平成10年6月15日、徳島県知事に対し、廃棄物処理法15条1項に基づき、本件産業廃棄物処理施設の設置許可申請をしたところ、平成11年3月31日、徳島県知事から、廃棄物処理法15条1項所定の許可(本件設置許可処分)を受けた(甲1)。
なお、本件設置許可処分は、平成9年法律第85号による改正規定の施行日である平成10年6月17日より後にされているが、許可申請が同月15日になされているので、同法附則5条1項の経過措置により、廃棄物処理法15条1項ないし3項及び同条2項1号の委任を受けた技術基準命令2条1項に基づいてされている。
(4) 本件条例の内容は、別紙2のとおりである(甲13)。なお、本件条例11条は、「この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。」と定めているが、同条にいう規則は未だ定められていない。
(5) 控訴人は、平成11年10月6日、本件産業廃棄物処理施設について、立地場所、施設の構造、水質、維持管理の面から、下流のα簡易水道の水源(別紙3参照)に好ましくない影響を与える可能性があり、現時点では、水道に係る水質を汚濁するおそれがあることを理由として、本件条例2条4号所定の規制対象事業場に認定する旨の処分(本件事業場認定処分)をした(甲2)。
そのため、被控訴人は、本件設置許可処分を得ているのに、本件産業廃棄物処理施設を設置できないでいる。
3 争点
本件の争点は、本件事業場認定処分の適否であるが、具体的には次の4点である。
(1) 本件条例が違法、無効であるので、そのような違法、無効な条例に基づく本件事業場認定処分は違法、無効であるか。
ア 争点1
本件条例は、廃棄物処理法に違反する内容であり、違法、無効であるか。
イ 争点2
本件条例は、その規制内容及び審査基準自体が不明確であり、違法、無効であるか。
(2) 本件事業場認定処分は、手続的、実体的に違法であるか。
ア 争点3
本件事業場認定処分に至る手続に瑕疵があり、本件事業場認定処分が違法であるか。
イ 争点4
本件産業廃棄物処理施設は、本件条例2条4号所定の規制対象事業場と認定すべき実体的要件を具備しておらず、本件事業場認定処分が違法であるか。
4 訴訟の経過
原審は、本件条例の内容は、少なくとも産業廃棄物の管理型最終処分場に適用される限りにおいて、廃棄物処理法15条1項ないし3項の規定に違反して無効であるから、控訴人がした本件事業場認定処分は法令上の根拠を欠き違法であるとして、被控訴人の本訴請求を認容し、本件事業場認定処分を取り消した。
控訴人は、これを不服として控訴した。
第3争点についての当事者の主張
1 争点1(本件条例は廃棄物処理法に違反しないか)
(1) 被控訴人の主張
ア 廃棄物処理法が規定する産業廃棄物処理施設の設置に対する規制は、処理施設自体に起因する生活環境の悪化の防止という要請を考慮しつつ、適正な処理施設による産業廃棄物の処理を通じて、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とし、そのための手段として、国が一定の技術上の安全基準を設け、その基準に適合するかどうかを都道府県知事が判断し、その結果、これに適合すると認められた処理施設の設置のみを許すという制度を設けたものということができる。
これに対し、本件条例は、「市の水道に係る水質の汚濁を防止し、清浄な水を確保するため、その水源を保護し、もって市民の生命及び健康を守る」という目的(1条)のもとに、水道事業管理者が指定する水源保護地域内において、一定の対象事業に係る事業場のうち、水道事業管理者が規制対象事業場と認定した事業場を設置することを禁止しており(6条ないし8条)、対象事業の中には、産業廃棄物処理業が含まれている(2条3号、別表)。
イ 以上によると、本件条例による産業廃棄物処理施設の設置に対する規制は、処理施設に起因する人の生命又は健康への被害を伴うおそれのある水質の汚濁を防止するため、技術上の不備があると認められる施設の設置自体を禁止するという点においては、廃棄物処理法による規制と目的を同じくするものである。
そうすると、本件条例は、上記の都道府県知事の審査権限と同じ権限を阿南市の機関である水道事業管理者(控訴人)に対しても付与することになる。このように、都道府県知事と市町村長が同一事項について二重に審査をする制度を設けることは、申請者に過度の負担をかける結果となり相当ではない上、廃棄物処理法が一般廃棄物処理業の許可については市町村長に委ねつつ、産業廃棄物処理業の許可並びに一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設の設置等の許可については都道府県知事の権限として、市町村長と都道府県知事の役割分担を明確に規定していることにかんがみても、およそ廃棄物処理法が想定しているものとは考えがたい事態である。
ウ 以上の次第で、本件条例の内容は、廃棄物処理法の規定に違反する違法、無効なものであり、このような違法、無効な条例に基づく本件事業場認定処分も又違法、無効なものである。
(2) 控訴人の主張
ア 本件条例は、産業廃棄物処理施設の設置を規制するものであるが、廃棄物処理法は、当該地域の実情に応じて生活環境を保全するために、地方公共団体が条例をもって別段の規制を施すことを認めていると解されること、本件条例の適用地域は、水源保護地域に限定されていることなどからすると、本件条例は廃棄物処理法の目的及び効果を阻害するものではないというべきである。
また、廃棄物処理法上の許可を得て合法的に設置された産業廃棄物処理施設でも、水源を汚染し、人の生命、健康に対する現実的な危険性があることを理由として、裁判手続で操業差止が認められる例はきわめて多い。本件条例も、市民の生命及び健康を守ることを目的として産業廃棄物処理施設の設置を規制しようとするものであって、本件条例が違法とされなければならない理由はない。
イ 廃棄物処理法に基づく審査は、担当役人による書面審査であり、現地調査は行われない。これに対し、本件条例に基づく審査は、複数の専門家による現地調査も含めた審査であり、当該専門家等で構成される審議会が審査して、その結論を答申した上で、市長(水道事業管理者)が最終的な判断を下す。
廃棄物処理法に基づく審査の基準は、構造基準・維持管理基準への書面上の適合性のみの審査に過ぎない。これに対し、本件条例に基づく審査の基準は、形式的・画一的審査ではなく、現地の地質・地下水の状況、下流域の汚染への対応能力など、現地の状況に応じて水源汚染のおそれの有無を具体的に審査判断するものである。
廃棄物処理法に基づく審査基準は全国一律であって、下流に脆弱な水源がある事実を考慮することは許されない。これに対し、本件条例に基づく審査は、水源汚染のおそれという実質的な基準に基づいて、それに関連する事柄であればすべて審査の対象となり、廃棄物処理法の審査とは本質的に異なる。
以上によると、本件条例による産業廃棄物処理施設の規制内容及び審査の手法は、廃棄物処理法と異なるものであって、いわゆる二重の規制には該当しない。
ウ そもそも、廃棄物処理法の目的には水道水源の保護は含まれていない。廃棄物処理法の目的とする生活環境の保全、公衆衛生の保持では、水道水源の保護を全うすることは無理である。水道水源保護の具体的方法、程度は地域的な特性に対する配慮が不可欠であるから、地域に応じた施策が必要であって、法律による一律の規制にはなじまないものである。
以上の次第で、本件条例の内容は、廃棄物処理法の規定に何ら違反しないものであり、このような本件条例に基づく本件事業場認定処分も違法、無効なものではない。
2 争点2(本件条例の規制内容、審査基準が不明確で違法か)
(1) 被控訴人の主張
ア 本件条例の適用上、水源保護地域内において産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、その設置しようとする施設が規制対象事業場に認定されないことが必要なのであるから、規制対象事業場に認定されるか否かについて重大な利害関係を有する。そして、公権力が法律に基づいて一定の措置をとる場合、その措置によって重大な損失を被る個人は、その措置がとられる過程において適正な手続的処遇を受ける権利を有すると考えられている(最高裁昭和46年10月28日第一小法廷判決・民集25巻7号1037頁参照)。
イ また、阿南市行政手続条例(甲31)において、「行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という。)を定めるものとする。」(5条1項)、「行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」(2項)、「行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、条例等により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により、審査基準を公にしておかなければならない。」(3項)と定められている。
それゆえ、阿南市行政手続条例上も、水源保護地域の指定及び規制対象事業場の認定のための具体的な審査基準が定められていなければならない。
ウ ところが、本件条例2条4号は、規制対象事業場とは、「対象事業を行う工場その他の事業場のうち、水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある工場その他の事業場で、条例7条3項の規定により規制対象事業場と認定されたものをいう。」と規定するだけであり、水質を汚濁し又は汚濁するおそれとは何をいうのか不明確である。
そして、被控訴人は、控訴人に対し、規制対象事業場認定に関する審査基準を明らかにするように再三求めたのに、控訴人は、「審査基準は、審議会に諮ることが基準である。」などと答え、被控訴人にはその主張と証拠の提出が与えられることはなかった。
エ このように、本件条例は、規制対象事業場の認定のための具体的な審査基準が定められておらず、その規制内容及び審査基準自体が不明確で違法、無効であり、このような違法、無効は条例に基づく本件事業場認定処分も又違法、無効なものである。
(2) 控訴人の主張
ア 本件条例における規制対象事業場としての認定基準は、「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある」事業場である(2条4号)。この「水質の汚濁」という文言は、環境基本法2条3項、水質汚濁防止法1条、旧公害対策基本法9条との対比や、本件条例1条の趣旨からみて、市民の生命又は健康に悪影響を及ぼすような水質汚染をいうことは明らかであって、不明確な点はない。
イ 廃棄物処理法に基づく施設設置の審査基準としての技術基準や維持管理基準には、数値化された基準も相当多数存在しているが、それは、本件条例における「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれ」のような上位概念としての認定基準を持たない形式的審査であるからこそ可能なのである。
本件条例の審査基準は、その上位概念としての認定基準である「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれ」を実質的に担保するための審査基準であるから、廃棄物処理法の場合のように担保すべき上位概念のない形式的な一律審査と異なり、形式的な数値化基準への当てはめにはそもそもなじまない。
各施設はそれぞれ異なる特性を有するので、上記認定基準を実質的に担保するためには、立地場所の特性や地質、地層構造、地下水の構造、現地の気象条件、過去の大雨災害の履歴、施設に搬入される廃棄物の種類・量などの施設側の諸事情と外部条件としてのあらゆる自然的条件や履歴など、すべての点で事業計画ごとに異なる要素、項目、数値化基準が必要になるが、事前にこれを基準として明示することは不可能である。認定基準としての「水質の汚濁又は汚濁のおそれ」を具体的に認定するための審査基準の具体的内容は、まさに審査を現実に実施することによって明らかになるのである。
ウ 行政手続法5条1項は、行政庁は許認可等の判断をするための審査基準を定めるものとし、同条2項は、審査基準を定めるに当たってはできる限り具体的なものとしなければならないと規定しているが、許認可等の性質上、個々の申請について個別具体的な判断をせざるを得ないものであって、法令の定め以上に具体的な基準を定めることが困難であると認められる場合は、審査基準を定めることを要しないとされている。
本件条例は、この判断が恣意的なものにならないように、阿南市水道水源保護審議会(以下「審議会」という。)を設け(10条)、その専門的・技術的な判断を仰ぐことによって、その認定につき客観的かつ適正妥当性を担保しているのである(7条3項)。
エ 以上の次第で、本件条例は、その規制内容及び審査基準自体が明確であり、本件条例に基づく本件事業場認定処分は違法、無効なものではない。
3 争点3(本件事業場認定処分が手続的に違法か)
(1) 被控訴人の主張
ア 本件条例は、被控訴人が本件産業廃棄物処理施設の設置計画をしていることを知った控訴人が、同処理施設の建設を阻止するため、狙い撃ち的に制定されたものである。
イ それゆえ、控訴人は、被控訴人が本件条例の制定前に既に本件産業廃棄物処理施設設置許可の申請に係る手続を進めていたことを了知しており、また、同手続を通じて本件産業廃棄物処理施設の設置の必要性と水源保護の必要性とを調和させるために控訴人としてどのような措置をとるべきかを検討する機会を与えられていた。
このような経過からすれば、控訴人としては、本件事業場認定処分をするに当たっては、被控訴人の立場を踏まえて、被控訴人と十分な協議を尽くし、被控訴人に対して、本件条例2条4号所定の規制対象事業場(水道に係る水質を汚濁し又は汚濁するおそれのある事業場)に当たらない適正な施設に改めるよう適切な指導をしたりして、被控訴人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務があった。
ウ ところが、控訴人は、被控訴人から、規制対象事業場認定に関する審査基準を明らかにするように再三求められながら、「審査基準は、審議会に諮ることが基準である。」などと答え、被控訴人が本件産業廃棄物処理施設が規制対象事業場に当たらないことについて主張を尽くし、証拠を提出する機会を封じた上で、本件事業場認定処分をするに至ったのである。
エ したがって、本件事業場認定処分は、控訴人に課せられている被控訴人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務に違反してなされたものであり、本件事業場認定処分に至る手続に瑕疵があり、本件事業場認定処分は違法である(最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決・民集58巻9号2536頁参照)。
(2) 控訴人の主張
ア 本件条例はいわゆる狙い撃ち条例には当たらない
本件産業廃棄物処理施設は、本件条例制定後4年以上経過した後に定められたものであり、控訴人が本件産業廃棄物処理施設の設置計画を阻止するために本件条例を制定することは、時間の先後関係からいってもあり得ない。
また、仮に、本件条例が、被控訴人が当初に計画していた産業廃棄物処理施設の設置計画との関係では狙い撃ち条例といえたとしても、当初に計画していた産業廃棄物処理施設はその後大きく変遷しており、本件事業場認定処分で問題となった本件産業廃棄物処理施設との間に同一性がない。
したがって、本件条例は、被控訴人が本件産業廃棄物処理施設の設置計画をしていることを知った控訴人が、被控訴人が同処理施設の建設をすることを阻止するため、狙い撃ち的に制定されたものではない。
イ 控訴人には被控訴人主張の配慮義務はない
(ア) 事業計画の作成やその運営に一切の責任を有しない行政庁としては、その審査判断に際して、基準適合性の有無や基準のどの部分に適合しないか、などを事業者に告知する義務はあるとしても、基準に適合させるには、事業計画をどのように具体的に変更すべきか、ということまで告知指導する義務はない。
もしそのような義務まで行政庁にあるとすると、行政庁が事業計画自体を作成するのと同様の負担を負うことになり、行政庁にはそのような能力も責任もないから、そのような考えが誤りであることが明らかである。
(イ) 本件産業廃棄物処理施設には、後記4(1)のとおり重大な欠陥が多数存在し、もともと被控訴人が意図的に手抜きしたか、又は十分な技術的検討を怠ったために生じたものである。そのような杜撰な事業計画の尻ぬぐいをするのが、行政庁の義務であるとは考えられない。
そのような数々の欠陥が控訴人に明らかになったのは、審議会から答申が出た後の時点(本件事業場認定処分の2日前)であり、迅速な判断が求められている本件事業場認定処分の手続において、控訴人が、被控訴人との間で、上記多数の重大な欠陥の是正を協議することは、計画自体の撤回を求めるに等しく、被控訴人にも計画変更の意思は全くなかったのであるから、控訴人としての所管事務の範囲をはるかに超えるものであって、それをしなかったことが違法であるとは到底いえない。
(ウ) したがって、控訴人には被控訴人主張の配慮義務などなく、本件事業場認定処分に至る手続に瑕疵はなく、本件事業場認定処分が違法であるとは認められない。
4 争点4(本件事業場認定処分が実体的に違法か)
(1) 控訴人の主張
ア 構造上の問題点
(ア) 本件産業廃棄物処理施設は、河川上流をせき止めて擁壁等の貯留構造物を建造し、そこへ廃棄物を搬入して埋め立てようとするものであるから、擁壁は、本件産業廃棄物処理施設の安全確保に必要不可欠なものである。しかし、本件産業廃棄物処理施設の擁壁は、雨水により背面部分が飽和状態になったときの水圧を考慮していない。
(イ) 本件産業廃棄物処理施設の擁壁は、道路公団の推奨する高さを大幅に上回るものであることからすると、その安全性を確認するためには、土質試験に基づき正確に許容支持力(擁壁が基礎地盤を押す力の許容範囲であり、その限界を超えると擁壁が基盤地盤にめり込むような形で転倒ないし崩落する。)の数値を計算しなければならないはずである。
しかし、被控訴人が提出した資料の内容は、<1>土質定数を求めるための土質試験を行っていないこと、<2>本件擁壁の許容支持力計算において推定値を用いるべきではないのにこれを無視しているばかりか、その内容も不当であること、<3>最大地盤反力の計算において、水圧を検討資料にしていないこと、<4>土質定数の数値を基礎地盤の強度が大きくなるように恣意的に設定していることといった問題点がある。
(ウ) 被控訴人は、地震時土圧について一般道路並みの数値で計算しているが、産業廃棄物処理施設の擁壁の安全性を確認する際に用いるべきものではないし、その内容も大地震に耐えうるものではない。
(エ) 被控訴人は、盛り土の安定計算(盛り土の一部がすべりによって土砂崩れを起こさないか否かの安全性の計算)についても、恣意的に、上面から2m以内の深さでのすべりは生じるはずがないと決めつけて安定計算の対象外としたほか、安全率についても、河川堤防やダムで使用される数値より低いものを用いている。
(オ) 以上によれば、本件産業廃棄物処理施設の擁壁の安全性は裏付けられてはおらず、その崩壊等によって産業廃棄物が流出するおそれはあるといわざるを得ない。
イ 河川工学上の問題点
本件産業廃棄物処理施設は、α川に排水することを計画しているところ、その付近の簡易水道はα川の伏流水を取水しており、これが汚染されるおそれのあることは明らかである。
ウ 搬入物質に関する問題点
(ア) 本件産業廃棄物処理施設には燃え殻も搬入されるが、これにダイオキシン類や重金属等の有害物質が含まれる可能性が高いことは明らかである。
(イ) 本件産業廃棄物処理施設では、微生物や水酸化ナトリウムを使用して有害汚濁物質(BOD)を除去するものとされているが、これらによってもダイオキシン類や重金属等が完全に除去されるとは考えられない。さらに、被控訴人は、埋立完了後10年間しか浸出水の処理をしないとしており、時間を経るに従って放流水がダイオキシン類で汚染されるようになることは明らかである。
エ まとめ
以上によると、本件産業廃棄物処理施設は、本件条例2条4号にいう「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある」事業場に該当し、規制対象事業場と認定すべき実体的要件を具備しており、本件事業場認定処分は実体的にも違法でない。
(2) 被控訴人の主張
ア 本件産業廃棄物処理施設は、簡易水道予定地まで直線で7.9km離れている上、本件産業廃棄物処理施設から3.5kmの地点にあるαダム堰堤によってα川流域が遮断されており(乙52、53、別紙3参照)、水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれがある場合には当たらない。また、本件条例が水源保護地域として指定した範囲(別紙3参照)は、本件条例の趣旨に照らして広すぎる。
イ 被控訴人は、周辺への廃棄物の飛散については、その防止設備として、埋立地周辺に高さ1.8mの亜鉛引き鉄板を設置する予定である。また、焼却灰等の飛散については、散水車等による散水を実施し、即日覆土(セル方式)を励行することになっている。
ウ 本件産業廃棄物処理施設に搬入される産業廃棄物には、そもそもダイオキシン、重金属類等の有害物質は含まれていないか、国又は県の基準内である。本件産業廃棄物処理施設の排水処理工程中には、アルカリ凝集沈殿プロセスが組み込まれており、溶解金属類を除去することが可能である。ダイオキシンも、本件産業廃棄物処理施設の浸出水処理施設での高度処理仕上げ工程として、砂ろ過と活性炭吸着を行うことにより、ほとんどを除去することができる。
被控訴人が浸出水処理施設の容量を決めるに当たっては、工業技術会などの研究に基づく「手順」により設計作業を行っているのであって、排水を未処理のまま放流することはあり得ない。
エ 遮水シートの透水係数は極めて小さいが、水分子より透過係数の大きな有機化合物や重金属類は極めて少ないから、その透過性は極めて小さく、有害物質が通過する可能性は極めて小さい。
被控訴人は、本件設置許可処分後の廃棄物処理法の改正や技術上の進歩を取り入れ、常に新しい遮水工システムを設置することを住民説明会などで説明している。すなわち、被控訴人は、高機能遮水工システム(平成10年総理府・厚生省令第2号による改正後の技術基準命令及びこれに基づく通達の基準を満たすものである。)を取り入れることを説明し、さらに、底面部の遮水シートのバックアップ材として自己修復型保護マットの導入を、安全管理システムとして電気的漏水検知システムの設置も決めている(甲51、52)。
オ 以上によると、本件産業廃棄物処理施設は、本件条例2条4号にいう「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある」事業場に該当せず、規制対象事業場と認定すべき実体的要件を具備していないので、本件事業場認定処分は実体的にも違法である。
第4当裁判所の判断
1 事実の認定
証拠(甲1、6、7、11~20、22~28、31、62、76~79、乙1・2、4、5~6〔枝番を含む〕、52~58〔枝番を含む〕、72・73、証人P1)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
(1) 当事者
被控訴人は、産業廃棄物処理業及び一般廃棄物処理業、産業廃棄物の収集、運搬、処理及び再生に関する事業、その他の業務・付帯業務を目的として、平成5年9月1日に設立された株式会社であり、当初は徳島県阿南市に本社を置いていたが、現在の本社は徳島市である。
控訴人は、地方公営企業法8条2項により、本件条例に定める水道事業管理者の権限を行う者である。
(2) 本件設置許可処分関係
ア 事前協議等
(ア) 被控訴人は、会社設立当初から、阿南市βの山林等(別紙1の1記載の山林等、以下「本件施設用地」という。)において、産業廃棄物処理施設(管理型最終処分場)を設置することを計画し、平成6年3月25日、徳島県産業廃棄物処理指導要綱(甲76)9条1項に基づき、徳島県知事に対し、産業廃棄物処理施設の設置に係る事前協議書(甲77)を提出した。
被控訴人は、以後、徳島県の担当者との間で、産業廃棄物処理施設の設置に関する事前協議を続け、平成7年2月9日付けで、徳島県知事から、事業計画に関する事前協議が完了した旨の通知を受領した(甲12)。
(イ) ところが、徳島県知事は、平成8年3月13日付けで、被控訴人に対し、同知事に報告した当初事業計画と実際の事業計画とは、内容が全く異なっていたとの理由で、上記完了通知を撤回し、事業計画の廃止勧告をした(甲14)。
徳島県知事は、当初事業計画と実際の事業計画とは、基本的な事業計画は同一であるのに、控訴人や阿南市γ住民から、上記産業廃棄物処理施設の設置計画には反対である旨の強い働きかけがあったことから、当初事業計画と実際の事業計画とは内容が全く異なるとの口実で、上記完了通知を撤回し、事業計画の廃止勧告をしたものである。
イ 第1次産業廃棄物処理施設設置許可申請等
(ア) 被控訴人は、平成8年12月18日、徳島県知事に対し、廃棄物処理法15条1項に基づき、本件産業廃棄物処理施設の設置許可申請をしたが、徳島県知事(徳島県環境生活部環境整備課)は、事前協議の完了通知が撤回されていることを理由に、同年12月25日付けで、上記許可申請書を被控訴人に返却し(甲15)、同申請書を受理しなかった。
(イ) そこで、被控訴人は、平成9年1月30日付けで、厚生大臣に対し、行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、厚生大臣は、同年10月16日付けで、徳島県知事に対し、速やかに上記申請書を受理し、同申請に対して処分をすべきことを命ずる旨の裁決をした(甲16)。
(ウ) 同裁決を受けて、被控訴人は、平成9年10月28日付けで、改めて、徳島県知事に対し、産業廃棄物処理施設設置許可申請書を提出したところ、徳島県知事(担当者)は、今度は同申請書を受理した。そして、被控訴人は、徳島県知事(担当者)の指示に従い、多数回にわたって必要書類の追完等の補正をした(甲17、19)。
(エ) ところが、徳島県知事は、平成10年3月30日、被控訴人に対し、上記申請に係る産業廃棄物処理施設は、次のとおり、廃棄物処理法15条2項1号に規定する技術上の基準に適合しているとは認められないとの理由で、同条1項の許可をしない旨の通知をした(甲20)。
a 擁壁天端を越え埋め立てられる廃棄物の流出防止及び保有水等の集水に必要な措置が講じられていないこと。
b 擁壁の設計に必要な設置箇所における土質調査が行われていないなど、構造物等の設計が十分でないこと。
c 上記a、bの事項をはじめ、廃棄物の埋立容量及び処理費の設定など、計画策定において、施設の構造上の安全性のみならず、維持管理の確実性が確保されているとは認めることができないこと。
ウ 第2次産業廃棄物処理施設設置許可申請等
(ア) そこで、被控訴人は、上記不許可事由を是正した計画(その基本的な計画内容は従前のものと変わりはない。)に改めた上で、平成10年6月15日付けで、徳島県知事に対し、廃棄物処理法15条1項に基づき、再度、施設の種類を管理型最終処分場、埋立地面積を8737.3m2、処理する産業廃棄物の種類を燃え殻、汚泥、建設廃材などとする、産業廃棄物処理施設(本件産業廃棄物処理施設)の設置許可申請をした(甲22、乙2)。
そして、被控訴人は、今回も、徳島県知事(担当職員)の指示に従い、多数回にわたって必要書類の追完等の補正をした。
その結果、徳島県知事は、平成11年3月31日付けで、被控訴人に対し、廃棄物処理法15条1、3項に基づき、本件産業廃棄物処理施設が本件条例2条4号所定の規制対象事業場と認定されないことにより効力を生じるとの条件を付した上で、本件産業廃棄物処理施設の設置を許可した(甲1、本件設置許可処分)。
(イ) そこで、被控訴人は、平成11年5月28日付けで、厚生大臣に対し、本件設置許可処分について、上記条件を付することは違法であると主張して、上記条件を付した部分の取消しを求めて、行政不服審査法に基づく審査請求をした(甲24)。
同審査請求に対し、厚生大臣は、平成12年7月31日付けで、上記条件は、阿南市当局の意思表示が関わる規制対象事業場の認定行為がないことをもって本件設置許可処分の効力が生じることとされており、これは、本件設置許可処分の効力の発生を発生不確実な事実に係らしめるものであって、かつ、許可要件と無関係の要件を付するものであることから、上記条件が無効であることが明らかである、との理由により、上記条件を取り消す旨の裁決をした(甲28)。
(3) 本件事業場認定処分関係
ア 水道水源
本件施設用地は、阿南市を流れる二級河川α川の支流の上流域にあり、α川の下流には、α簡易水道事業が水源としているα水源地がある(乙52・53、別紙3参照)。α水源地は、本件施設用地から直線で約7.9kmの地点にある。
その取水日量は、平成6年度が1030m3、平成7年度が797m3、平成8年度が865m3、平成12年度が752m3、平成13年度が863m3、平成14年度が773m3であった(乙73)。平成9年11月から平成12年7月ころまでの間は、石炭火力発電所建設のための作業員の一時宿泊所がα水源地のすぐ上流に建てられ、その汚水がα川に流入するため、取水が中止されていた。
イ 産業廃棄物処理施設設置反対運動等
本件施設用地に産業廃棄物処理施設の建設計画がもち上がったのは、平成3年末ころからであり、当時の事業者はP2株式会社であった。被控訴人は、平成5年9月に設立され、P2の事業計画を承継したものである。
阿南市γ及びその周辺に居住する住民約1300人程度は、α簡易水道事業が供給する水道水を使用している。
そこで、γ及びその周辺住民多数が、γ協議会、α簡易水道組合、α川を美しくする会、α川を守る会、αダム周辺整備推進協議会などの名前で、本件施設用地に産業廃棄物処理施設が建設されると、α川の水質汚濁によって水道水が汚染されるとの理由で、産業廃棄物処理施設建設反対の決議を行い、徳島県議会、阿南市議会に建設反対の陳情・請願を繰り返し行い、活発な産業廃棄物処理施設の建設反対運動を展開した(甲79、乙57・58、72、証人P1)。
ウ 本件条例の制定
(ア) 控訴人は、平成6年3月31日、徳島県知事から、徳島県産業廃棄物処理指導要綱(甲76)11条1項に基づき、産業廃棄物処理施設の設置に係る事前協議書(甲77)に対する意見を求められ(甲78)、同年4月15日、徳島県知事に対し意見書を提出した(甲79)。
控訴人は、上記意見書の中で、「申請予定地であるβ地区については、平成4年9月に県へ産業廃棄物処理施設設置許可申請があったが、平成4年11月にはγ協議会、α簡易水道組合及びα川を守る会から徳島県及び阿南市に対し反対陳情がされた経緯がある。今回の産業廃棄物処理施設設置申請予定地は前回と同じ場所であり、その位置からα川に対する影響が心配されるため、γ協議会、α川を守る会及びα簡易水道関係者に周知し、同意を得る必要がある。また、αダム周辺整備推進協議会についても、産業廃棄物処理施設の設置に反対の意思決定をしているので、周知し同意を得る必要がある。」との意見を述べている。
(イ) そして、控訴人も、γ及びその周辺住民の意向を受けて、本件施設用地への産業廃棄物処理施設の建設を阻止することに協力することになり、徳島県の担当部局に対し、本件施設用地に産業廃棄物処理施設を建設することを阻止すべく、強力に働きかけていた(控訴人の平成15年10月2日付け準備書面3頁4項参照)。
徳島県知事(担当者)は、平成6年7月20日及び同年8月19日の2回にわたり、徳島県産業廃棄物処理指導要綱(甲76)12条に基づき、廃棄物処理施設適正立地審査会を開催した(甲9・10)。被控訴人は、同審査会に出席し、本件施設用地への建設を計画していた産業廃棄物処理施設に関する説明を行ったが、控訴人(担当者)も、同審査会に出席し、阿南市としての意見を述べた。
被控訴人は、徳島県の行政指導に従い、阿南市γにおいて、延べ7回にわたり、本件産業廃棄物処理施設設置に関する事業説明会を開催した。徳島県及び阿南市の担当者も、平成7年1月22日の事業説明会に出席している。
(ウ) しかし、控訴人は、平成6年夏ころから、徳島県による行政指導にも限界があることから、α簡易水道の水道水源を保護するため、水道水源保護条例を制定することの検討を始めた。しかるところ、控訴人(担当者)は、平成7年1月終わりころ、徳島県の幹部から、「徳島県産業廃棄物処理指導要綱では、もうとても行政指導を続けることはできない。廃棄物処理法に基づいて許可する手続に入らざるを得ない。」との意向を示された。
その後、徳島県知事は、平成7年2月9日付け書面で、被控訴人に対し、産業廃棄物処理施設設置に係る事前協議が完了した旨の通知(甲12)をしている。
そこで、控訴人(担当者)は、控訴人独自の立場で本件施設用地に産業廃棄物処理施設が建設される事態を阻止する目的で、本件条例を制定する方針を固めた(証人P1の証言)。そして、控訴人(担当者)は、平成7年2月7、8日ころ、既に水道水源保護条例が施行されている先進地の視察を行い、同年2月20日、阿南市内部で本件条例案の決定をし、同年3月3日、阿南市議会に本件条例案を提案した。
(エ) その結果、平成7年3月3日、本件条例案が議会で議決され、同日本件条例が公布され、同日から本件条例が施行されて、14名の審議会委員も選任された(本件条例10条3項)。
そして、控訴人は、審議会の意見を聴いた上で、平成7年3月11日、阿南市の水源地のある河川の上流域のほぼ全域に当たる161.2km2(別紙3参照)について、本件条例6条所定の水源保護地域に指定し、同年4月4日にそれが告示されて、その効力が発生した。本件施設用地も、当然水源保護地域に含まれている。
エ 本件条例の内容等
本件条例は、水道法2条1項の規定に基づき、阿南市の水道に係る水質の汚濁を防止し、清浄な水を確保するため、その水源を保護し、もって市民の生命及び健康を守ることを目的とするものである(1条)。
本件条例は、水道事業管理者(控訴人)が指定する水道水源保護地域内において、一定の対象事業に係る事業場にうち、水道事業管理者(控訴人)が規制対象事業場と認定した事業場を設置することを禁止し(6条ないし8条)、違反者は6月以下の懲役又は罰金に処せられ(12条)、法人に対する両罰規定も定めており(13条)、対象事業の中には、産業廃棄物処理業が含まれている(2条3号、別表)。
そして、本件条例によれば、水源保護地域内において対象事業を行おうとする事業者は、あらかじめ水道事業管理者(控訴人)と協議することを義務付けられており、水道事業管理者(控訴人)は、事業者から事前協議の申し出があったときは、審議会の意見を聴き、規制対象事業場と認定するかどうか判断することとされている(7条1、3項)。
審議会は、阿南市の水道に係る水源の保護に関する重要な事項について調査審議する機関であり、委員15人以内をもって組織することとされている(10条)。
本件条例は、規制対象事業場と認定されるための要件として、「水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある工場その他の事業場」であることを規定するのみで、その審査基準が明らかではなく、どのような観点からの審査によってその該当性が判断されることになるのか明らかでない。
そして、本件施設用地が存在する地域が水道水源保護地域と認定されているので、控訴人が本件産業廃棄物処理施設を規制対象事業場と認定すれば、被控訴人が、本件産業廃棄物処理施設について、徳島県知事より、廃棄物処理法15条1項所定の産業廃棄物処理施設の設置許可を得ていても、本件産業廃棄物処理施設を設置することはできないことになる。
オ 本件事業場認定処分等
(ア) 対象事業協議書の提出
被控訴人は、平成11年3月18日付けで、控訴人に対し、本件条例7条1項に基づき、対象事業協議書を提出した(甲23)。
(イ) 規制対象事業場の認定手続等
a 審議会、調査研究部会の開催等
これを受けて、平成11年4月5日から同年10月4日までの間に、徳島大学名誉教授ら十数名の審議会委員が出席して、審議会が5回開催された(4月5日、4月13日、8月10日、9月30日、10月4日)。
そのうち、第1回審議会(平成11年4月5日)では、被控訴人に対し、被控訴人が徳島県に提出した本件産業廃棄物処理施設の設置許可申請書の写しを提出するよう求めること及び現地調査をすることが決められた。同月13日には、被控訴人から審議会事務局に対し、徳島県に提出した上記設置許可申請書の写し(乙2)が添付書類を含め全部提出された。
第2回審議会(平成11年4月13日)では、現地調査の後、被控訴人から提出された資料(上記設置許可申請書の写し)の検討のため、審議会の下に、地質、構造、水理、防災等の7名の専門家(別紙4の1記載のとおり)による調査研究部会を設けることが決められた。
調査研究部会は、平成11年4月30日から同年9月20日までの間に、現地調査期日(5月17日)のほか、4回(4月30日、7月15日、8月18日、9月20日)開催された。同部会は、同年8月10日開催の第3回審議会において、調査研究経過の中間報告をした。
b 任意の情報開示請求等
被控訴人は、平成11年3月19日から同年10月6日までの間に、控訴人(担当者)との間で、延べ数十回にもわたり、面談又は電話により接触を持ち、控訴人(担当者)に対し、審査基準や標準処理期間を尋ねたり、何が問題となっているかを尋ねたりした。
これに対し、控訴人(担当者)は、審査基準等についての回答はせず、また、控訴人側から、被控訴人に対し、本件産業廃棄物処理施設の建設計画のどの部分にどのような問題があるか等について、具体的情報を開示するようなことは全くなかった(証人P1の証言)。
c 阿南市行政手続条例に基づく情報開示請求等
被控訴人は、その間の平成11年8月23日、控訴人に対し、阿南市行政手続条例(甲31)5条(審査基準)及び9条2項(情報の提供)に基づき、対象事業協議書(甲23)の提出から5か月を超えているのに、未だ審査の結論が出ていないところからすると、事前協議書の審査について国の法律をはるかに超えた規制値等が確立されていると思われるので、その審査基準を開示するよう求める旨の文書(甲25)を提出した。
しかし、控訴人は、平成11年9月10日ころ、被控訴人に対し、次のような回答(甲26)を行い、被控訴人からの請求に対し、明確な回答をしなかった。
(a) 具体的な審査基準について
水道水源の安全性は、地形、地質、気象等様々な要素によって左右されるものであるので、その判断基準を画一、具体的に規定することは困難である上、その判断は高度な専門性、技術性を要することから、審議会において、「水道水源の水質を汚濁し、又は汚濁するおそれ」の点について、専門的、技術的、総合的に審査することとされており、その審議会の意見をふまえて規制対象事業場と認定するか、どうかを判断する。
(b) 審査基準を策定できない理由について
審議会の意見をふまえて判断することとされているが、審議会の意見そのものも画一的なものとは限らないため、審査基準を策定できない。
d 審議会の最終意見等
調査研究部会は、平成11年9月20日の第4回部会において、調査研究の最終取り纏めを行い、同月27日に意見書(別紙4の2記載のとおり)を審議会に提出した(乙1)。
被控訴人は、平成11年9月29日、控訴人(担当者)に対し、翌30日開催の第4回審議会に出席して意見を述べさせてほしいと求めたが、控訴人(担当者)はこれを拒否した。
そして、同日開催された第4回審議会において、上記調査研究部会提出の意見書(別紙4の2)について討議し、同年10月4日開催の第5回審議会において、本件産業廃棄物処理施設の設置計画は、「現時点では、本件条例2条4号の水道に係る水質を汚濁するおそれがある」との答申をすることとなった。
(ウ) 審議会の答申
審議会は、平成11年10月4日付けで、控訴人に対し、「本件産業廃棄物処理施設の建設については、立地場所、施設の構造、水質、維持管理の面から、下流のα水道水源に好ましくない影響を与える可能性がある。現時点では、本件条例2条4号による水道に係る水質を汚濁するおそれがある。」旨を答申した(甲2-2枚目以降)。審議会が上記答申をした理由の詳細は、別紙5記載のとおりである(甲2-3、4枚目)。
(エ) 本件事業場認定処分
そこで、控訴人は、平成11年10月6日付けで、被控訴人に対し、本件産業廃棄物処理施設については、立地場所、施設の構造、水質、維持管理の面から、下流のα水道水源に好ましくない影響を与える可能性があり、現時点では、本件条例2条4号にいう水道に係る水質を汚濁するおそれがあることを理由として、本件条例7条3項により、本件産業廃棄物処理施設を規制対象事業場に認定する旨の処分(本件事業場認定処分)をし、上記審議会の答申写しを添付した規制対象事業場認定通知書(甲2)を交付した。
結局、審議会は5回(その外現地調査が1回)開催され、調査研究部会が4回(その外現地調査が1回)開催されたが、被控訴人は、そのうちの1回も出席することができず、審議会や調査研究部会、あるいは現地調査期日において、被控訴人の意見を述べたり、資料(本件産業廃棄物処理施設の設置許可申請書の写し(乙2)を除く。)を提出する機会を与えられなかった。
さらに、被控訴人は、審議会の答申後も、その答申内容について知らされず、答申内容に対し反論する機会も与えられなかった。
2 争点3(本件事業場認定処分が手続的に違法か)の検討
(1) いわゆる狙い撃ち条例
ア 前記1(3)ウの事実によると、本件条例は、被控訴人が本件施設用地に産業廃棄物処理施設の設置計画をしていることを知った控訴人が、被控訴人が同処理施設を建設することを阻止するため、狙い撃ち的に制定されたものであることが認められる。
イ この点に関し、控訴人は、「本件条例が、被控訴人が当初に計画していた産業廃棄物処理施設の設置計画との関係では狙い撃ち条例といえたとしても、当初に計画していた産業廃棄物処理施設はその後大きく変遷しており、本件事業場認定処分で問題となった本件産業廃棄物処理施設との間に同一性がない。」と主張する。
ウ しかし、当初に計画されていた産業廃棄物処理施設、本件産業廃棄物処理施設ともに、本件施設用地上に設置することを計画していたものである(甲77、乙22)。
そして、産業廃棄物処理施設の設置に係る事前協議書記載の処理能力は、約40m3・トン/日(8時間)、埋立地面積8909m2、埋立容量12万1337m3であり(甲77)、本件設置許可処分の対象となった本件産業廃棄物処理施設の処理能力は、70m3・トン/日(8時間)、埋立地面積8737.3m2、埋立容量9万5940m3である(乙2)。
両者の間には、処理能力、埋立容量等に若干の変更はあるものの、建設予定地、埋立地面積、処理方法にはほとんど差がなく(甲77、乙2)、両者の事業計画は、その基本的部分においては同一といえる。
エ したがって、被控訴人が当初に計画していた産業廃棄物処理施設と、本件事業場認定処分で問題となった本件産業廃棄物処理施設とは、基本的部分には変更がなく、被控訴人は、徳島県当局から、何回にもわたり補正の指示を受けたため、何回にもわたり補正はしているが、その基本的な計画は変わらない。
それゆえ、被控訴人が本件産業廃棄物処理施設とほぼ同一の処理施設の設置計画をしていることを知った控訴人が、同処理施設の建設を阻止するため、狙い撃ち的に本件条例を制定したものであると認めることができ、控訴人の上記イの主張は採用できない。
(2) 本件条例の審査基準の不明確性
ア 本件条例の適用上、水源保護地域内において産業廃棄物処理施設を設置しようとする者(事業者)は、その設置しようとする施設が規制対象事業場に認定されないことが必要なのであるから、規制対象事業場に認定されるか否かについて重大な利害関係を有する。そして、国や地方公共団体が法律や条例に基づいて一定の規制をする場合、その規制によって重大な影響・損失を被る国民や市民は、その規制がとられる過程において適正な手続的処遇を受ける権利を有すると考えられている(最高裁昭和46年10月28日第一小法廷判決・民集25巻7号1037頁参照)。
イ また、阿南市行政手続条例において、「行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかをその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という。)を定めるものとする。」(5条1項)、「行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、当該許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」(2項)、「行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、条例等により当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により、審査基準を公にしておかなければならない。」(3項)と定められている。
それゆえ、本件条例については、阿南市行政手続条例上も、規制対象事業場の認定のための具体的な審査基準が定められていなければならない、といえる。
ウ ところが、本件条例2条4号は、規制対象事業とは、「対象事業を行う工場その他の事業場のうち、水道に係る水質を汚濁し、又は汚濁するおそれのある工場その他の事業場で、条例7条3項の規定により規制対象事業場と認定されたものをいう。」と規定するだけであり、水質を汚濁し又は汚濁するおそれとは何をいうのか不明確である。
そして、被控訴人は、控訴人(担当者)に対し、規制対象事業場認定に関する審査基準を明らかにするように再三求めたのに、控訴人(担当者)は、「審査基準は、審議会に諮ることが基準である。」等という趣旨の答弁をして、被控訴人にはその主張と証拠の提出が与えられることはなかった。
エ このように、水源保護地域内において産業廃棄物処理施設を設置しようとする者(事業者)は、規制対象事業場に認定されるか否かについて重大な利害関係を有するにもかかわらず、本件条例は、規制対象事業場の認定のための具体的な審査基準が定められておらず、その規制内容及び審査基準自体が不明確であることに照らすと、本件条例は、規制対象事業場と認定される過程において、事業者に対し適正な手続的処遇を受ける権利を保障していない違法なものではないか、あるいは、阿南市行政手続条例に違反した違法なものでないか、との疑念がないわけではない。
それだけに、控訴人は、被控訴人(事業者)から事前協議の申し出があったときは、被控訴人(事業者)に対し、本件産業廃棄物処理施設の建設計画のどの部分にどのような問題があるか等について、具体的情報を開示するなどして協議を尽くし、被控訴人(事業者)の適正な手続的処遇を受ける権利を侵害しないように配慮する義務があったといえる。
(3) 廃棄物処理法15条1項の許可を受けている
ア 本件産業廃棄物処理施設は、平成11年3月31日付けで、徳島県知事から、廃棄物処理法15条2項1号所定の技術基準命令で定める技術上の基準に適合しているとして、廃棄物処理法15条1項所定の許可を受けている(甲1)。
イ したがって、本件産業廃棄物処理施設は、徳島県知事から、次の各技術基準命令で定める技術上の基準に適合していることを認められた施設であるといえる。
(ア) 本件産業廃棄物処理施設には、廃棄物の流出を防止するための擁壁、堰堤その他の設備であって、自重、土圧、水圧、波力、地震力等に対して構造耐力上安全であるなどの要件を備えたものが設けられている(技術基準命令2条1項4号、1条1項4号イ)。
(イ) 本件産業廃棄物処理施設には、浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために廃棄物の保有水及び雨水等の浸出を防止することができる遮水工を設ける措置が講じられている(技術基準命令2条1項4号、1条1項5号イ)。
(ウ) 本件産業廃棄物処理施設は、保有水等に係る放流水の水質を、排水基準を定める総理府令1条に規定する排水基準に適合させることができる、浸出液処理設備を設ける措置が講じられている(技術基準命令2条1項4号、1条1項5号ハ)。
ウ ということは、本件産業廃棄物処理施設は、徳島県知事によって、産業廃棄物その他の有害物質が直接又は浸出液として流出することによる生活環境の悪化(この中には、当然、人の生命又は健康に害を及ぼす程度の水質の汚濁も含まれる。)を防止できる能力があることを認められた施設であり、廃棄物の流出を防止するための安全な擁壁、堰堤を備え、公共の水域及び地下水の汚染を防止するための遮水工を設ける措置が講じられ、総理府令に定められた排水基準に適合した浸出液処理設備が設けられた施設である。
それゆえ、本件産業廃棄物処理施設は、本件条例2条4号所定の規制対象事業場ではなく、「水道に係る水質を汚濁し又は汚濁するおそれのある」産業廃棄物処理施設とはいえない、と一応いうことも可能であるとの考え方もあり得る。
エ したがって、控訴人は、本件産業廃棄物処理施設が、「水道に係る水質を汚濁し又は汚濁するおそれのある」施設であり、本件条例2条4号所定の規制対象事業場であると認定するのであれば、被控訴人と十分な協議を尽くし、被控訴人に対して、本件産業廃棄物処理施設の構造上の問題点、浸出液処理施設の問題点、遮水工に関する問題点に対する対策を促すなどして、本件産業廃棄物処理施設の浸出液の処理、遮水工破損による有害物質の漏出防止、擁壁の安全性を確保し、水源保護の目的にかなう適正なものに改めるよう適切な指導をし、被控訴人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務があったものということができる。
(4) まとめ
以上の1(3)ウ・エ・オ、2(1)ないし(3)の認定を総合すると、次のとおり認めることができる。
ア 控訴人の指導配慮義務
(ア) 本件条例は、水源保護地域内において対象事業を行おうとする事業者(被控訴人)にあらかじめ水道事業管理者(控訴人)との協議を求めるとともに、事業者(被控訴人)から当該協議の申出がされた場合には、水道事業管理者(控訴人)は、規制対象事業場と認定する前に審議会の意見を聴くなどして、慎重に判断することとしている。
そして、規制対象事業場認定処分が事業者(被控訴人)の権利に重大な制限を課すものであることを考慮すると、上記協議は、本件条例の中で重要な地位を占める手続であるということができる。
(イ) 本件条例は、被控訴人が本件産業廃棄物処理施設とほぼ同一の処理施設の設置計画をしていることを知った控訴人が、被控訴人が同処理施設を建設することを阻止する目的のために、狙い撃ち的に制定されたものである。
したがって、控訴人は、被控訴人が本件条例の制定前に既に本件産業廃棄物処理施設とほぼ同一の施設の設置許可の申請に係る手続を進めていたことを了知しており、また、同手続を通じて本件産業廃棄物処理施設の設置の必要性と水源保護の必要性とを調和させるために、控訴人としてどのような措置をとるべきかを検討する機会を与えられていたといえる。
(ウ) しかも、本件条例は、規制対象事業場の認定のための具体的な審査基準が定められておらず、その規制内容及び審査基準自体が不明確であることに照らすと、本件条例は、規制対象事業場と認定される過程において、事業者(被控訴人)が適正な手続的処遇を受ける権利を保障されていない違法なものではないか、あるいは、阿南市行政手続条例に違反した違法なものでないか、との疑念がないわけではない。
(エ) その上、本件産業廃棄物処理施設は、徳島県知事から、廃棄物処理法15条2項1号所定の技術基準命令で定める技術上の基準(この中には水質の汚濁防止に関する基準も含まれる。)に適合しているとして、廃棄物処理法15条1項所定の許可を受けている。
それゆえ、本件産業廃棄物処理施設は、「水道に係る水質を汚濁し又は汚濁するおそれのある」産業廃棄物処理施設ではないと、一応いうことも可能であるとの考え方もあり得る。
(オ) そうすると、控訴人としては、被控訴人に対して本件事業場認定処分をするに当たっては、被控訴人の立場を踏まえて、被控訴人と十分な協議を尽くし、被控訴人に対して、本件産業廃棄物処理施設の構造上の問題点、浸出液処理施設の問題点、遮水工に関する問題点に対する対策を促すなどして、本件産業廃棄物処理施設の浸出液の処理、遮水工破損による有害物質の漏出防止、擁壁の安全性を確保し、水源保護の目的にかなう適正なものに改めるよう適切な指導をし、被控訴人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務があったものということができる(最高裁平成16年12月24日第二小法廷判決・民集58巻9号2536頁参照)。
イ 控訴人の指導配慮義務違反
ところが、控訴人は、次のとおり控訴人に課せられた前示指導配慮義務を全く履行しておらず、本件事業場認定処分に至る手続に瑕疵があり、本件事業場認定処分が違法であることが認められる。
(ア) 被控訴人は、平成11年3月19日から同年10月6日までの間に、控訴人(担当者)との間で、延べ数十回にもわたり、面談又は電話により接触を持ち、控訴人(担当者)に対し、審査基準や標準処理期間を尋ねたり、何が問題となっているかを尋ねたりした。
これに対し、控訴人(担当者)は、審査基準等についての回答をせず、また、控訴人側から、被控訴人に対し、本件産業廃棄物処理施設の建設計画のどの部分にどのような問題があるか等について、具体的情報を開示するようなことは全くなかった。
(イ) 被控訴人は、その間の平成11年8月23日、控訴人(担当者)に対し、阿南市行政手続条例に基づき、対象事業協議書の提出から5か月を超えているのに、未だ審査の結論が出ていないところからすると、事前協議書の審査について国の法律をはるかに超えた規制値等が確立されていると思われるので、その審査基準を開示するよう求める旨の文書を提出した。
ところが、控訴人は、平成11年9月10日ころ、被控訴人に対し、「審査基準は、審議会に諮ることが基準である。」などという趣旨の回答しかしなかった。
(ウ) さらに、被控訴人は、平成11年9月29日、控訴人(担当者)に対し、翌30日開催の第4回審議会に出席して意見を述べさせてほしいと求めたが、控訴人(担当者)はこれを拒否している。
(エ) 結局、被控訴人は、審議会や調査研究部会(現地調査を含む)などには一度も出席することができず、被控訴人の意見を述べたり、被控訴人の主張を裏付ける資料(本件産業廃棄物処理施設の設置許可申請書の写しを除く。)を提出する機会を全く与えられなかった。
さらに、被控訴人は、審議会の答申後も、その答申内容について知らされず、答申内容に対し反論する機会も与えられなかった。
(オ) 以上の次第で、控訴人は、本件産業廃棄物処理施設が規制対象事業場に当たらないことについて、被控訴人が主張を尽くし、証拠を提出する機会を封じた上で、本件事業場認定処分をするに至ったのである。
第55 結語
1 以上の次第で、本件事業場認定処分は手続的に違法であり、その余の点について判断するまでもなく、本件事業場認定処分は取消しを免れず、被控訴人の本訴請求は理由がある。
2 よって、被控訴人の請求を認容した原判決は結論において相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 紙浦健二 裁判官 熱田康明 裁判官 島岡大雄)
別紙1 産業廃棄物処理施設
1 所在地
徳島県阿南市β××番1(雑種地)、××番2(山林)、××番3(山林)の各一部
2 面積
8737.3平方メートル
3 建設予定の工場その他の事業場
産業廃棄物管理型最終処分場