大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 平成15年(行コ)11号 判決 2004年2月26日

控訴人(1審原告) A株式会社

同代表者代表取締役 甲

同訴訟代理人弁護士 矢野真之

同 五葉明徳

被控訴人(1審被告) 今治税務署長

安藤征郎

同指定代理人 金村敏彦

同 岩佐裕史

同 富﨑能史

同 中川義信

同 友澤哲郎

同 鈴木久市

同 倉本幸芳

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1  控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の控訴人に対する次の処分を取り消す。

(1)  平成9年4月4日付、今法第5号、自平成5年9月1日至平成6年8月31日事業年度分法人税の更正処分

(2)  平成9年4月4日付、今法第6号、自平成6年9月1日至平成7年8月31日事業年度分法人税の更正処分及び加算税の賦課決定処分

(3)  平成9年4月4日付、今法第7号、自平成7年9月1日至平成8年8月31日事業年度分法人税の更正処分及び加算税の賦課決定処分

(4)  平成9年4月4日付、今法第8号、自平成6年9月1日至平成7年8月31日課税期間分消費税の更正処分のうち、納付すべき税額1491万7200円を超える部分及び加算税の賦課決定処分

(5)  平成9年4月4日付、今法第9号、自平成7年9月1日至平成8年8月31日課税期間分消費税の更正処分のうち、納付すべき税額1679万4400円を超える部分及び加算税の賦課決定処分

(6)  平成9年4月4日付、第55号、平成9年度源泉所得税の納税告知処分及び加算税賦課決定処分

第2  事案の概要等

1  争いのない事実及び争点

次に補正するほか、原判決「事実及び理由」第2及び第3記載のとおりであるから、これを引用する

(1)  原判決5頁20行目の「第1記載のとおりの判決」を「上記第1の2同旨の判決」に改める。

(2)  同6頁26行目の「原告は」から27行目の「いかんともし難く」までを「控訴人は、昭和61年の和議認可決定を受けて再建途上であったBの関連会社であったため、取引先の信用を得ることは困難で」に改める。

(3)  同7頁14行目から8頁16行目までを次のとおり改める。

「控訴人は、次のaないしc記載のとおり、別紙仮払金明細1、同2、同3、同貸付金明細、同仮払金明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として乙に交付し、乙は、別紙仮払金使途明細1、同2、同3、同貸付金使途明細、同仮払金使途明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として『乙からの交付先』欄記載の相手方に支払ったものである。

a 平成7年8月期の仮払金7051万9923円

別紙仮払金明細1記載のとおり、控訴人から乙に交付され、別紙仮払金使途明細1記載のとおり、乙から丁に対して支払われた。

丁は、新居浜市選出の県議会議員であり、県議会議長、自民党県連幹事長を歴任した有力者であった。同人は、平成8年12月に死亡したが、乙とは古くから深い親交があった。そこで、乙は、丁に公共工事等の受注のための尽力を継続的に依頼しており、その見返りとして、別紙仮払金使途明細1記載のとおり金員を支払った。

b 平成8年8月期の仮払金6383万4180円

別紙仮払金明細2、同3記載のとおり、控訴人から乙に交付され、別紙仮払金使途明細2、同3記載のとおり、乙から丁、戊に対して支払われた。

丁、戊は、いずれも別紙仮払金明細2、同3の『交付の目的たる工事』欄記載の工事に影響力を及ぼすことができる人物であった。乙は、同人らに公共工事等の受注のための尽力を依頼することの見返りとして、別紙仮払金使途明細2、同3記載のとおり金員を支払った。

c 平成8年8月期の貸付金3616万5820円

別紙貸付金明細、同仮払金明細記載のとおり、控訴人から乙に交付され、別紙貸付金使途明細、同仮払金使途明細記載のとおり、乙から丁に対して支払われた。

平成8年8月31日現在の貸付金残高内訳は、①平成7年8月31日からの貸付金繰越残高1013万7624円、②仮払金からの振替額4223万8036円、③期中未収利息23万5296円であったところ、①には別紙貸付金明細記載の貸付金合計2688万7790円の残額744万1560円(平成5年8月末の貸付金残高)が含まれ、②には同仮払金明細記載の仮払金合計4134万6300円の残額3389万3753円が含まれている。

控訴人は、以上の別紙貸付金明細記載の残額744万1560円及び同仮払金明細記載の残額3389万3753円について、工事受注のための経費であるという実質に従い、そのうちの貸付金3616万5820円を乙に対する支払手数料に振り替えて清算したものである。」

(2)  同10頁3行目から5行目までを次のとおり改める。

「控訴人は、別紙仮払金明細1、同2、同3、同貸付金明細、同仮払金明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として乙に交付し、乙は、別紙仮払金使途明細1、同2、同3、同貸付金使途明細、同仮払金使途明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として『乙からの交付先』欄記載の相手方に支払ったものであるから、本件仮払金等は損金性を有する旨主張する。」

(3)  同頁14行目の次に改行して次のとおり加える。

「また、控訴人は、本件仮払金等につき、別紙仮払金明細1、同2、同3、同貸付金明細、同仮払金明細と、別紙仮払金使途明細1、同2、同3、同貸付金使途明細、同仮払金使途明細とに分けて主張するが、後者の使途明細の内容は、その大部分が、これに対応する前者の仮払金等の支払年月日欄記載の年月日に『頃』を付け、金額欄も同額か端数の金額を切り捨てただけのものであり、それ自体、信用性に疑問があるといわざるを得ない。」

第3  当裁判所の判断

1  争点1(控訴人が乙に対して有する本件仮払金等を、同人に対して負う本件支払手数料と清算ないし相殺したことが、同人に対する役員賞与の支給に該当するか否か。)について

当裁判所も、本件仮払金等については乙が返還債務を負うというべきところ、これを控訴人が実体のない本件支払手数料で清算・相殺したことは乙に経済的利益を与えたことになるから、法人税法35条4項に規定する「賞与」に該当するものと認められると判断する。その理由は、次のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第4の1記載のとおりであるから、これを引用する。

(1)  原判決13頁15行目から17行目までを次のとおり改める。

「控訴人は、本件訴訟において、本件各処分の段階では何ら資料を提出しなかった、本件仮払金等が乙から第三者に交付されたとの事実を主張するのであるから、国税通則法116条が立証責任を転換する規定ではないにしても、同条の趣旨に照らし、少なくとも、本件仮払金等が乙から第三者に交付されたことについて、具体的事実を主張し、併せてその事実を合理的に推認させるに足りる程度の具体的な立証をする必要があるというべきである。」

(2)  同14頁10行目の次に改行して、次のとおり加える。

「控訴人は、当審において、その主張の一部を訂正し、別紙仮払金明細1、同2、同3、同貸付金明細、同仮払金明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として乙に交付し、乙は、別紙仮払金使途明細1、同2、同3、同貸付金使途明細、同仮払金使途明細記載の年月日に、同記載の金額を、同記載の交付の目的たる工事の受注のための資金として『乙からの交付先』欄記載の相手方に支払った旨主張する。

しかしながら、別紙仮払金使途明細1、同2、同3、同貸付金使途明細、同仮払金使途明細の内容が真実であることを認めるに足りる的確な証拠はないし、また、その大部分は、これに対応する別紙仮払金明細1、同2、同3、同貸付金明細、同仮払金明細の支払年月日欄記載の年月日に『頃』を付け、金額欄も同額か端数の金額を切り捨てただけのものであり、それ自体信用性に疑問があるといわざるを得ない。」

2  争点2(本件マンションを無償貸与している相手はBか、丙か。また、無償貸与の相手がBと認められる場合、賃貸料相当額は法人税法37条2項に規定する寄附金に該当するか否か。)について

当裁判所も、控訴人が本件マンションを無償貸与している相手はBであり、その賃貸料相当額は法人税法37条2項に規定する寄附金に該当すると判断する。その理由は、原判決「事実及び理由」第4の2記載のとおりであるから、これを引用する。

3  結論

よって、控訴人の本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 朝日貴浩)

裁判官 豊永多門は、転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官 水野武

(別紙)

(A)

仮払金明細1

file_2.jpgRADE MESS ® Perec eed @ @ @] wri2a] 3196, 880 Sl arat 504,10 7.3.00] 1,125,000, 7.4.28 | 20, 000, @[ anew 109 @[ unreal nasa 13,495 000) oe

仮払金明細2

file_3.jpgROEHL S TE ERRRPRESRR LE ESREERER (RRO ORT ARAM aT H teed uae seed KTR AT SAT ERARM RRA Orb ~ ae iecerend

仮払金明細3

file_4.jpgPom FLaeSEWaEEED 000) Ore GUL tb) BUD =a ONE RTS UW BONR a Ea

貸付金明細

file_5.jpgsusan | @ @ HORE Soe x RED | Se FAD wes | rere) PeeRLe GE Ta) CIMT HN + wa 8,803, 000 & | $91,000,000 weiis| — §38700[DEMe WRTEREEDS Gt + ae + EA) 10,000, 000 wsssuss] me 213, 000, oy oe

仮払金明細

file_6.jpga| @ ROEM S IE wai, 7 REELS GENEROEE ska ORTRNBT Fz HAS» WB BE) eran WAST @[ ssa Sl nazs0 15.8.1 werzs| 6278 000 eeyARRe = 00, op = 346, 200

(A)

仮払金使途明細 1

file_7.jpgRHORWESLE =m Pern eeed

仮払金使途明細 2

file_8.jpgxuean | @ ROEHL S TE Oo, aterm 5 60 T ERRRPRESRR LE @| uraex] 400 z ASRS (RD SRT ADAIR Sree TMA PRR TIATEREA Le Fim SHTURARM HERAT Orb ~ ae Crrieiriesd EE,

仮払金使途明細 3

file_9.jpg= noon aes ED | REB_ HA A a [emsonte ZHORMR SE pe tees | _a 40,000 T aRnRSLaSeRLe = writ OH EVILS. 8.31) [becom 76,878 aa rem Peren rere Poe rere

貸付金使途明細

file_10.jpgra wie +H Fe Teo ss wea FSH 000018 GxLED (US HTS UHDOMR

仮払金使途明細

file_11.jpgROE S TE ERRELS GENERUER, = F200, 000

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例