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高松高等裁判所 平成15年(行コ)22号 判決 2003年12月25日

控訴人

A協同組合

同代表者代表理事

同訴訟代理人弁護士

南健夫

曽我部吉正

被控訴人

松山税務署長 森川東一

同指定代理人

片野正樹

富﨑能史

中川義信

鈴木久市

友澤哲郎

倉本幸芳

主文

1  本件控訴をいずれも棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対してした次の各処分をいずれも取り消す。

(1)  平成7年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成10年2月27日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分

(2)  平成8年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成10年2月27日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、寄附金の損金不算入額6099万0806円、繰延資産償却費の損金不算入額817万1333円及び雑収入の計上漏れ450万円とした部分

(3)  平成9年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正及び過少申告加算税賦課決定処分のうち、繰延資産償却費の損金不算入額1225万7000円、雑収入の計上漏れ690万円及び寄附金の損金不算入額7万3788円とした部分

(4)  平成10年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正処分のうち、繰延資産償却費の損金不算入額1225万7000円及び雑収入の計上漏れ800万円とした部分

(5)  平成11年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税について平成13年1月26日付けでした更正及び無申告加算税賦課決定処分

第2事案の概要等

事案の概要及び争いのない事実等は、原判決「事実及び理由」第2の1、2記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決添付の別紙1及び2の各「Q株式会社」を、いずれも「S株式会社」に改める(以下においても同じ。)。

第3争点

争点(及び争点に関する当事者の主張)は、原判決「事実及び理由」第3の1、2記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決10頁26行目及び27行目の各「当該団体」をいずれも「法人(組合)」に改める。

第4当裁判所の判断

1  当裁判所も、本件各処分はいずれも適法であり、控訴人の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、以下のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第4記載のとおりであるから、これを引用する。

(1)  原判決15頁29行目の「認められる」の次に「(なお、甲24には、上記24の漁業協同組合が振興協会の構成員であるとするかのような記載があるが、振興協会は財団法人であるから、構成員ないし社員は存在しない。)」を加える。

(2)  同16頁5行目の「これが本件出捐金の対価」を「本件出捐金はかかる利益の対価として支払われたもの」に、15行目の「本件出捐金の対価である」を「本件出捐金と対価関係に立つもの」に各改める。

(3)  同17頁3行目の「、4、5」を「、3ないし5、7」に改める。

(4)  同頁8行目から9行目、13行目から14行目、18行目から19行目、28行目から29行目、18頁4行目から5行目、9行目から10行目、14行目から15行目、18行目から19行目の各「操業に影響が生じることから、これに対する補償の趣旨で支払われたものである。」をいずれも「漁場での操業に影響が生じることが危惧されたことから、控訴人において補償の申入れをしたことによって、支払がされるに至ったものである。」に改める。

(5)  同17頁22行目の「水揚げができなくなったことから、その補償の趣旨で」を「水揚げができなくなり、荷役料を要することになったことから、これを補助する趣旨で」に改める。

(6)  同頁28行目の「共同漁業権内への」を「共同漁業権の対象である海域への」に改める。

(7)  同18頁13行目の「Q株式会社」を「S株式会社」に改める。

(8)  同頁22行目の「ものはない」の次に「(控訴人は、昭和52年11月ころ開催された総会で漁業操業に悪影響を及ぼす事業所、起業者等との間の被害補償の交渉について、控訴人のみで解決できる事案、相手方から委任状を求められない事案に関しては、控訴人に交渉、妥結、補償金の受領に必要な一切の権限を委任するとの申合せが行われたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。)」を加える。

(9)  同19頁4行目から6行目の「漁場での操業に影響が生じることからその補償の趣旨で支払われたものであると認められるところ」を「漁場での操業に影響が生じることが危惧されたことから、控訴人において補償の申入れをしたことによって、支払がされるに至ったものであるが、これらの支払のうちの多くが協力金等の名目でされ、金額も年間数十万円程度のものが多いことや、控訴人代表者本人の供述によると、これらの支払の金額は目測の部類で決めたものであるというのであり、漁業に対する影響を合理的に評価して定めたわけではないと考えられることに照らすと、本件漁業協力金等のうち、松山市からの荷役料を除いたもののうちの多くは、企業その他の団体が交際費的な性格の金員として支払ったものに過ぎないのでないかとの疑いを払拭することができない。しかし、これらの金員が、企業等の活動によって生じる可能性がある漁場での操業への影響と、全く無関係に支払われたわけでないことは明らかであることに鑑み、この疑いについてはひとまず措くこととし、これらの金員を漁場での操業に生じる影響への補償の趣旨で支払われたものと解するとしても」に改める。

(10)  同頁27行目の「できなくなったことに対する補償の趣旨で」を「できなくなり、荷役料を要することになったことから、これを補助する趣旨で」に改める。

2  よって、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 豊永多門 裁判官 朝日貴浩)

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