大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 平成16年(行コ)13号 判決 2004年12月17日

控訴人 有限会社A

上記代表者代表取締役 甲

被控訴人 高知税務署長 長賀部秀政

上記指定代理人 中田克之

同 藤本義文

同 倉本幸芳

同 中川義信

同 栗岡和男

同 岡田知美

同 吉岡義仁

同 本田隆

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1  控訴人の求める裁判

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人の平成11年3月1日から平成12年2月29日までの事業年度の法人税について平成13年12月25日付けでした更正及び加算税賦課決定(知法(法)第641号)を取り消す。

第2  事案の概要

1  本件は、控訴人が、被控訴人に対してなした、平成11年3月1日から平成12年2月29日までの課税期間の消費税及び地方消費税についての確定申告に対し、被控訴人が控訴人に対し、平成13年12月25日付けで、収用による資産譲渡益の計上漏れを理由として、法人税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分を行ったことについて、控訴人が、①収益の計上漏れはないこと(計上時期が到来していないこと。)、②上記確定申告に際しては、平成13年法律第7号による改正前の租税特別措置法64条の2第1項の適用を受ける、と主張して、被控訴人の上記処分が違法であると争った事案である。

原審は、上記処分は適法であるとして、控訴人の請求を棄却した。

控訴人は、同判決を不服として控訴した。

2  争いのない事実及び争点は、以下のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1及び2記載のとおりであるから、これを引用する。

なお、略語は、原判決の使用するものを使用する。

3  補正部分

(1)  原判決6頁1行目「、本件訴訟では」を「、本件更正処分等は、後記⑰のとおり減額再更正処分等がなされているので、本件訴訟においては、後記⑰のとおり減額された本件更正処分等の取消を求めているものと認められる。そして、本件訴訟では、後記⑰のとおり減額された」と改める。

(2)  同16頁1行目末尾の次に、「被控訴人が平成11事業年度において資産譲渡益として計上している収益は、経費補償金と資産譲渡益を合わせたもので、実体は経費補償金の収益計上にすぎない。そして、最終的に代替資産を取得して移転のための経費が確定するまでは、収用等に伴う収益は計上しなくて良いのであるから、平成11事業年度中に移転経費が確定していない本件においては、同年度に収益を計上することはできない。」を加える。

第3  争点に対する判断

1  当裁判所も、原判決と同様、控訴人の請求は、いずれも理由がないものと判断する。その理由は、以下のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」記載のとおりであるから、これを引用する。

2  補正部分

(1)  原判決19頁11行目「計上時期について」の次に「、最終的に代替資産を取得して移転のための経費が確定するまでは、収用等に伴う収益は計上しなくていいのであるから」を加える。

(2)  同21頁10行目末尾の次に改行の上、次のとおり加える。

「 また、控訴人は、被控訴人が平成11事業年度において資産譲渡益として計上している収益は、経費補償金と資産譲渡益を合わせたもので、実体は経費補償金の収益計上にすぎないので、課税の対象とはならないとも主張する。

しかしながら、後記のとおり、法人税法上、法人の有する資産の取得が土地収用法その他の法律の規定に基づいて買い取られた場合でも資産の譲渡と評価できるので、収用等により譲渡した資産に係る補償金等と帳簿価額の差額は資産損益として課税の対象となると解するのが相当であるから、控訴人の上記主張も理由がない。」

(3)  同24頁6行目「とはうかがえない。」を「と認めるに足りる証拠はない。」と改める。

第4  結論

以上によれば、本件更正処分等の根拠となった所得の算定等及び措置法の適用に誤りはなく、控訴人の本件事業年度の法人税額及び無申告加算税の額は、前記第2の1(争いのない事実)(3)のとおりとなるから、本件更正処分等は適法なものというべきである。控訴人が当審において、るる主張するところに即して検討しても、この判断を動かすに足りない。

よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないので、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 馬渕勉 裁判官 吉田肇 裁判官 種村好子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例