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高松高等裁判所 平成21年(ネ)407号 判決 2010年11月16日

主文

1  原判決を次のとおり変更する。

2  被控訴人は、控訴人に対し、600万円及びこれに対する平成20年3月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  控訴人のその余の請求を棄却する。

4  訴訟費用は第1、2審を通じて、これを10分し、その4を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1控訴の趣旨

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は、控訴人に対し、1500万円及びこれに対する平成20年3月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。

第2事案の概要

1  本件は、平成15年9月18日午前2時10分ころ、徳島県阿南市<以下省略>先路上において、有限会社a(以下「a社」という)所有にかかるA(以下「A」という)運転の普通貨物自動車(以下「A車」という)とB(以下「B」という)運転の軽四貨物自動車(以下「B車」という)とが正面衝突し、Bが脳挫傷等の傷害を負い、同日、死亡した交通事故(以下「本件事故」という。)について、A車の自賠責保険を負担していた被控訴人がBの遺族に対し自賠責保険金1500万円を支払い、A車と対人賠償無制限の自動車共済契約を締結していた控訴人が、平成20年1月29日に徳島地方裁判所阿南支部で、Bの遺族とA及びa社との間で成立した訴訟上の和解によりBの遺族に1500万円を支払ったところ、控訴人が、1次的には、被控訴人は上記和解内容の過失割合(Bが6割、Aが4割)に拘束されるから被控訴人の自賠法に基づく自賠責保険金支払義務の額は3000万円であると主張し、2次的には、上記和解内容に拘束されないとしても、本件事故における過失割合は、Bが6割、Aが4割であり、この過失割合に基づいて計算すれば、被控訴人の自賠法に基づく自賠責保険金支払義務の額は3000万円であると主張して、自賠法15条に基づき、被控訴人に対し、1500万円及びこれに対する平成20年3月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審が、控訴人の請求を全て棄却したところ、控訴人が控訴し、前記第1記載のとおりの判決を求めた。

2  本件の前提となる事実及び当事者の主張は、後記3のとおり、当審における当事者の補足的主張を付加するほか、原判決「事実及び理由」第二の一及び第三に記載のとおりであるから、これを引用する。

3  当審における当事者の補足的主張

(1)  控訴人

ア 1次的主張について

(ア) 仮に、判決の場合に準ずることができないとしても、別件訴訟の和解内容は充分審議が尽くされた上での和解であり、しかも、訴訟告知まで受けた事案であるので、訴訟上の和解の場合の支払基準に従い、妥当性ありとして、信義則上も被控訴人は和解内容に拘束される。

(イ) なお、原審の判断が正しいとすれば、控訴人は支払わなくてもよい1500万円をB車に支払ったことになり、法的には、控訴人はBの遺族に対し、同額の不当利得返還請求が可能になるなど、法的安定性を著しく欠く。

イ 2次的主張について

(ア) 本件事故態様および衝突地点

事故発生時間は、午前2時10分ごろで、事故現場付近は、街灯や店舗の照明等はなく、暗く、A車の進路から見て、右にゆるやかにカーブしており、A車からも、B車からも前方の見透しは不良である。

衝突地点は、甲17の実況見分調書に表示された衝突地点file_2.jpg点よりも少し北側である。

衝突の際、A車およびB車は互いに中央線をはみ出した状態で衝突したものである。

(イ) B車は軽四貨物自動車であり、A車は事業用普通貨物自動車であるから、車輌の重量において大きな差があり、かつ積載量および外形上も大きく異なる(甲18、19)。

従って、証人Eの証言(甲26)、同人の鑑定書(甲21)および衝突時点での両車輌の速度の差(乙1の8頁鑑定結果)等により合理的に判断すると、必ずしも、衝突の際に直ちにスキッド痕が路面に付着されたともいえないものであり、少なくとも、その可能性も否定出来ないというべきである。

よって、衝突地点はfile_3.jpg点ではなく、file_4.jpg点より少し北側と見るのが正当であると思料する。

なお、別件訴訟の和解案(甲4の2)も、本件の衝突地点は実況見分調書のfile_5.jpg点より少し北側であると認定している。

(ウ) 過失割合について

前記のとおり衝突地点はfile_6.jpg点の少し北側であり、A車およびB車は互いに中央線をはみ出していたものであるから(甲4の2)、その過失割合はA車3割ないし4割、B車7割ないし6割であるというべきである。

仮に、衝突地点がfile_7.jpg点であるとしても、下記に述べる理由により、過失割合は、A車3割ないし4割、B車7割ないし6割であると思料する。

① 前記のとおり、本件事故発生時間は、午前2時10分ごろ、事故現場付近には街灯や店舗もなく、暗く、事故現場はA車から見て右にゆるやかにカーブしており見透しは悪い。

② A車の運転者Aの証言(甲27)および甲17の実況見分調書によれば、A車がB車を最初に発見したのは③地点でB車はfile_8.jpg地点であり、その時A車の前照灯はローで、前方の見透しは約30メートルであった(同人の証言4頁)。

その時点では、A車の右側部分は中央線を越えて直進していたことは証拠上明らかである(甲17)。

なお、A車がB車を発見したのは、自車の前照灯のライトでB車のライトに気付いたためである。

A車はB車のライトに気付いて中央線付近から自車の車線に戻ろうとしたが、B車が突っ込んできたのでブレーキを踏んだが間に合わず、衝突したものであるとしている。

③ 以下述べるとおり、A車は本件事故発生につき、回避措置を取らなかった過失が大きいというべきである。

a 本件事故の発生時刻、本件事故当時の照明および見透しの悪いゆるやかな右カーブである事故現場付近の状況を考えると、A車は前照灯をローではなくハイにして走るべきであり、ハイにしておれば③地点より早くB車を発見できた可能性が高く、本件事故を回避できた可能性も高い。

b A車はB車file_9.jpgを発見した③地点では中央線を越えて直進しており、その距離は26.8mである(甲17)。

事故現場はA車から見てゆるやかな右カーブであるから、A車が自車線を直進しておればもう少し早くB車を発見できた可能性が高い。

c 鑑定人Fの鑑定書(乙1)によれば、A車の事故発生直前の速度(急制動直前の速度)は約48~60km/h、B車の事故発生直前の速度は約41~58km/hと計算されている(乙1の8頁、鑑定結果)。

ところで、Aは事故現場付近では時速50キロメートルで走行していたと証言しているが、事故発生直前の速度が鑑定結果により約48~60km/hであるとすれば、A車は③地点でB車を発見した後も何らの減速処置を取っておらず、むしろ、速度が加速された可能性すらある。

もし、この時点でA車が減速処置を取っておれば、衝突事故は回避できたか、できないにしても重大な結果である死亡事故にはならなかった可能性が高い。

d A車は、③地点でB車file_10.jpgを発見しながらB車は自己の進路に進入しないものと漫然と考え、警笛器を吹鳴することを怠っている。

もし、この時点で減速し、警笛器を吹鳴していたなら、B車はA車の存在に気付き衝突を回避できた可能性が高い。

④ 以上の事実を総合して判断すると仮に衝突地点がfile_11.jpg点であるとしても、本件事故発生の基因としてA車の過失も相当高く、3割ないし4割程度の過失責任はあるというべきである。

(2)  被控訴人

ア 1次的主張について

(ア) 自賠責損害調査センターにおいては、被害者加害者間の訴訟において判決や訴訟上の和解が成立した場合の取扱いについては、実務上、個々の事案に応じた処理がなされており、本件については、控訴人からなされた事前認定依頼に対し、別件訴訟に提出された準備書面、書証の内容や別件訴訟における審理経過も踏まえた上で、別件訴訟における和解の内容には妥当性が見出せないと判断したものであり、この判断には合理性がある。

(イ) 本件事故の被害者と加害者との間では、和解が成立しているので不当利得の問題は生ぜず、また、控訴人がa社に支払った共済金に関しても、共済契約の免責条項に該当しない限り、不当利得の問題は生じない。

イ 2次的主張について

(ア) 本件事故態様に照らせば、本件事故は、Bの基本的かつ重大な過失により惹起されたものであり、B車側の過失割合は9割以上と評価されるべきである。

(イ) 損害額についての主張等

① 控訴人は、Bの総損害について、治療費22万8997円、葬儀費用149万円、逸失利益5696万3100円、慰謝料2400万円、弁護士費用280万円を主張している。

しかしながら、別件訴訟で成立した訴訟上の和解では、被害者と加害者との間において、Bの総損害につき、逸失利益5400万円、死亡慰謝料2000万円、葬儀費用100万円と具体的に確認のうえ、その余の請求を放棄し、本件交通事故に関し他に何らの債権債務のないことを相互に確認している(甲6)。

したがって、上記以外の損害項目の損害及び上記各金額を超過する額の損害は、仮にあったとしても上記和解の請求放棄条項、清算条項により消滅したものである。

控訴人は、Bの遺族に上記和解による損害賠償額を支払ったことにより、a社ないしA(別件訴訟被告)が取得した被控訴人に対する加害者請求権(15条請求権)を、保険代位により別件訴訟被告から取得したものである。

よって、控訴人は、上記和解により合意された損害項目及び損害額以外の損害をBの損害として主張することはできない。

② 弁済の主張(仮定抗弁)

被控訴人は、本訴提起前に訴訟外でなされた直接請求(自賠法16条請求)に対し、死亡による損害分(保険金額3000万円)として1500万円、傷害による損害分(保険金額120万円)として18万5238円をてん補済みである。

このうち、傷害による損害分18万5238円は、控訴人の主張する治療費22万8997円(甲13)とそれ以外の諸雑費1100円、文書料1450円の合計23万1547円から重過失減額制度所定の2割減額をした金額である(以上につき、乙5の1・2、乙6ないし9)。なお、死亡による損害分1500万円の既払いについては控訴人と被控訴人との間に争いがない。

第3当裁判所の判断

1  当裁判所は、控訴人の1次的主張は理由がないが、2次的主張には一部理由があるので、控訴人の請求を600万円の限度で認容し、その余の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は以下のとおりである。

2  控訴人の1次的主張について

ア  後記イないしオのとおり補足するほか、原判決「事実及び理由」第四の一1に記載のとおりであるから、これを引用する。

イ(ア)  さて、自賠責損害調査センターの支払基準(甲7)によれば、訴訟上の和解の金額については、妥当性ありと判断されれば被害者の損害額として採用するとされているところ、妥当性の判断については、立証資料を取り寄せることになっている。また、訴訟の途中で裁判官の和解勧告に基づき和解が成立した事案については、立証資料がないことをもって直ちに不認定とはせず、口頭弁論調書等を取り寄せ、その妥当性を検討の上認定することになっている。

(イ)  また、訴訟告知事案の取り扱いは、原則として、(ア)と同様に取り扱うとしながら、訴訟告知事案固有の事務処理として、損害保険料率算出機構との協議の上で、訴訟参加しなかった場合には、同機構において訴訟告知事案として取り扱うこと、訴訟参加しなかった場合で、和解で終了した場合には、自賠責保険の引受会社はその内容に拘束されないと規定されているので、同機構において訴訟告知事案として取り扱い、(ア)と同様に、金額の妥当性の認定をするものと解される。

ウ  そこで、別件訴訟の訴訟経過を認定する。

(ア) 別件訴訟の第1回口頭弁論は、平成18年9月8日に開かれ(甲30の1)、弁論準備手続が4回開かれ(甲30の2~5)、平成19年5月8日の第2回口頭弁論期日において(甲30の6)、乙1を作成したFの証人尋問が実施され(乙2)、同年7月10日の第3回口頭弁論期日において、Aの本人尋問(甲27)と甲21を作成したEの証人尋問(甲26)が実施された(甲30の7)上、再度、弁論準備手続に付されて、同年9月14日に同手続が実施され、その期日において、当事者双方が最終準備書面を提出した上で、裁判所が同年11月30日までに和解案を提示することとなった(甲30の8)。

(イ) そして、裁判所から、平成19年11月30日に、詳細な和解案(甲4の1・2)の提示があった。

その内容は、概ね以下のとおりである。

① 衝突地点については、本件衝突の態様を、やや右よりほぼ正面からのオフセット衝突と推認した上で、衝突の瞬間にガウジ痕が印象されたとは認めにくいこと等から、原判決第1図面のfile_12.jpg点よりも少し北側で衝突し、その際、A車及びB車は互いに中央線をはみ出した状態で衝突したこと、及び対向車線へのはみ出しの程度はB車の方が相当程度大きかったものとした。

② A車が、本件事故直前に中央線をはみ出して対向車線上を走行していたところ、本件事故現場付近の見通しが悪く、車線の幅員も約3.4メートルにすぎないところ、A車は大型の車両で車幅が2.29メートルであったことを考慮すれば、Bが、動転して判断及び操作を誤り、B車を対向車線に進入させた可能性を認めて、A車の過失を軽視できないと指摘した。また、互いの衝突速度からすると両車ともにほとんど制動が効いていない状態で衝突したとして、過失割合については、B車7割、A車3割とした。

③ 損害については、逸失利益、慰謝料、治療費、葬儀費用の合計8268万2097円と認めた。

④ そして、前記の過失相殺をして、既払金1512万9466円を控除すると、967万5163円になるところ、遅延損害金等を考慮して、1100万円の和解案を提示した。

(ウ) そして、平成20年1月29日の第6回弁論準備手続において、当事者間に和解が成立した(甲6)。

その内容は、前記前提事実のとおりであるが、再掲すると、

① 本件事故によるBの損害が合計7500万円(逸失利益5400万円、慰謝料2000万円、葬儀費用100万円)であることを確認する。

② 本件事故の過失割合につき、Bが6割、Aが4割であることを確認する。

③ 上記①の損害額に過失相殺による減額と既払額(1500万円)の減額を施した後の1500万円について、A及びa社は、連帯して、Cほか1名に支払う。

というものである。

(エ) 裁判所和解案と成立した和解との主たる相違点は、Bの損害額については和解案よりも低額に合意しながらも、過失相殺をB車6割、A車4割とすることによって、裁判所和解案よりも高額の和解になったものである。

エ  この和解に対する自賠責損害調査センターの見解は、概ね次のとおりである(甲31、乙10、11)。

(ア) 衝突地点については、原判決第1図面のfile_13.jpg地点である。

(イ) 本件事故は夜間に発生し、本件現場付近はカーブであることから、B車がA車の中央線付近走行を認識することも困難であるから、A車の中央線付近走行が、B車が中央線を突破した原因とは考えられない。そうすると、本件事故は「キープレフト」の原則に違反し、中央線を突破したB車の重大な過失によるものといわざるを得ない。

(ウ) そして、和解において、事故発生態様の確定、および双方車両の過失割合をB車側6割、A車側4割とした根拠について、客観的資料ないし合理的理由を確認できず、本件和解について、当事者間で主張、立証が尽くされ、適正に争われた結果であると評価できないとしている。

オ  以上認定の経緯に鑑みれば、控訴人指摘の訴訟告知の点を踏まえても、この点に関する控訴人の主張は採用できないものというほかない。

3  控訴人の2次的主張について

(1)  判断の前提となる認定事実等

以下のとおり補正するほか、原判決「事実及び理由」第四の一2のとおりであるから、これを引用する。

原判決5頁22行目末尾に以下のとおり加える。

「本件道路には、追い越しのための右部分はみ出し通行禁止の規制があった。また、A車側からの見通し状況であるが、原判決第1図面③地点の北側にあるP点から46.7メートル南方のP’点(原判決第1図面file_14.jpg地点より南方)は見通せた。」

原判決5頁23行目の「イ 」の次に以下のとおり加える。

「Aは、平成15年9月16日夕方4時ころに、阿南市所在のa社を出て、名古屋に向かった。名古屋で積荷を降ろして、三重県鈴鹿に向かった。途中、名古屋のコンビニの駐車場で4時間ほど仮眠した。鈴鹿では断熱材を積んで、同月17日の夕方5時ころに、鈴鹿を出発し、高知県安芸に向かった。途中、淡路島のパーキングエリアで仮眠した。そして、同月18日午前2時10分頃、本件道路にさしかかった。」

原判決5頁26行目の「衝突地点手前」を「衝突地点手前(原判決第1図面③の地点)」に改める。

原判決6頁1行目の「B車」を「B車(原判決第1図面file_15.jpgの地点)」に改める。

原判決10頁1行目から、14行目までを以下のとおり改める。

「 次に、修正要素について検討するに、本件事故の前に、A車が中央線をはみ出して進行していたこと(第1図面③付近)、その地点でA車は、file_16.jpgの地点のB車を発見していたこと、見通しの距離は、PからP’間で47.6メートルであるから、B車は、その時点で既に、A車が中央線をはみ出して走行していたことを発見した可能性があること等を考慮すれば、Bが動転して判断及び操作を誤り、B車を対向車線に進入させた可能性が高いこと、前記認定したようにA車は、2回仮眠を取ったとはいうものの、本件前々日の夕方4時に名古屋に出発してから、鈴鹿を経由して、高知県安芸に向かう途中の、本件事故当日午前2時10分ころに、本件事故を惹起したものであること等の事情を考慮すれば、B車8割、A車2割の過失相殺をするのが相当である。」

(2)  損害について

控訴人は、Cほか1名(別件訴訟原告)に上記和解による損害賠償額を支払ったことによりa社ないしA(別件訴訟被告)が取得した被控訴人に対する加害者請求権(15条請求権)を、保険代位により加害者から取得したものであるところ、別件訴訟で成立した訴訟上の和解では、被害者と加害者との間において、Bの総損害につき、逸失利益5400万円、死亡慰謝料2000万円、葬儀費用100万円と具体的に確認のうえ、その余の請求を放棄し、本件交通事故に関し他に何らの債権債務のないことを相互に確認している(甲6)。

したがって、上記以外の損害項目の損害及び上記各金額を超過する額の損害は、仮にあったとしても上記和解の請求放棄条項、清算条項により消滅したものである。

よって、控訴人は、上記和解により合意された損害項目及び損害額以外の損害をBの損害として主張することはできないから、控訴人が主張できる損害は上記の合計7500万円に限られる。

そして、支払基準によれば、被害者に重大な過失がある場合で、被害者の損害額が保険金額3000万円を超えている場合には、保険金額から減額すべきとなっており、これによれば、前記過失割合(B車8割、A車2割)の場合には、3割の減額をすることになっているので、保険金額3000万円から3割減額した金額である2100万円を、被控訴人は支払うべきであったところ、被控訴人が実際に支払ったのは1500万円であるから、被控訴人は控訴人に対して、2100万円と1500万円との差額である600万円を支払うべきである。

よって、控訴人の2次的主張には一部理由がある。

4  よって、上記結論と一部結論を異にする原判決を変更の上、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小野洋一 裁判官 釜元修 金澤秀樹)

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