高松高等裁判所 昭和24年(ネ)35号 判決
控訴代理人は原判決を取消す被控訴人の組織は無効なることを確認する。被控訴人が昭和二十二年十二月別紙目録記載の土地につきなした買収計画は無効なることを確認する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とするとの判決を求め被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の主張はいずれも原判決事実摘示と同一であるからこゝにこれを引用する。(立証省略)
三、理 由
控訴人は被控訴人の委員決定はその選挙のための選挙人名簿の調製、その縦覧、その期間の公示、選挙期日、投票場所の公示、委員候補者の届出もなく全く法令の根拠に基かずしてなしたものであると主張するけれどもこの点に関する当審証人武岡重威、同中山国蔵、同平山竜海、同平松相次郎の各証言は措信し難く他に右事実を認むべき証拠なきのみならず却て印影部分の成立に争なく原審証人岡瀬重太郎、同好永豊信、同笹岡亀久及び原審並びに当審証人宮内親の各証言によりその余の部分の成立をも認められる乙第一号証の一乃至三、同第二号証の一乃至七、同第三号証の一乃至二十二、並びに右各証言を綜合すれば被控訴人主張のような諸手続を経てその主張のようにそれぞれ委員の選挙をなし当選を決定したことが認められる。
次に控訴人は被控訴人の農地調整法第十五条ノ二、第三項第一号(小作層)及び第二号(地主層)の区分による各委員の当選決定のいずれも区分を異にする同第三号(自作農層)の区分に従う選挙人名簿の登録者からなした委員候補者推薦届出に基きなされたものでその届出は無効であると主張するにつき按ずるに同法施行令第二十五条ノ五第二項には選挙人名簿に登録せられている者は他人を委員候補者としようとするときは法定の期間迄にその推薦の届出ができるとのみ定め特に推薦者と被推薦者である他人と同一区分に従うべき旨の制限のないこと。同条第三、四項には右の場合選挙長は法定期間内に選挙会を開き委員候補者を以て当選と定めるのでありそのとき委員候補者の被選挙権の有無を決定せねばならないが特に届出人に関してはこの有無を決定することを要求されていないこと、農地調整法施行規則第三十二条、第三十九条によれば右推薦届出書には委員候補者についてはその氏名には名称、住所、生年月日の外農地調整法第十五条ノ二、第三項各号の別を記載することを要求しているが推薦届出者にはその区分の別を記載することを要求していないこと、右施行令第二十五条ノ五、第一項による委員候補者たらんとする者の届出があつて選挙が施行された場合同令第二十五条ノ十三に無効投票として列挙されている各別の内区分を異にする委員候補者の氏名又は名称を記載したためこれを無効とする旨を掲げていないこと等を綜合すれば右推薦届出は有効と解するを相当とする。
然らば被控訴人の委員当選決定は無効ではなく斯る委員及び会長を以てなされた被控訴人の組織も亦無効ではない。
敍上の理由により控訴人の本訴請求はいずれも理由なくこれを棄却した原判決は相当であるから民事訴訟法第三百八十四条によりこれを棄却すべく訴訟費用につき同法第八十九条第九十五条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 前田寛 近藤健蔵 萩原敏一)
(別紙目録省略)