高松高等裁判所 昭和24年(控)1397号 判決
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本件起訴状には公訴事実として「被告人は昭和二四年一月二三日施行の衆議院議員選挙に際し選挙人であつたが、愛媛県第一区より立候補した関谷勝利の当選を得しむる目的を以て、昭和二三年一一月末頃、松山市三津住吉町なる右関谷の選挙事務所に於て、同候補者の選挙運動者たる松本常太郎より右候補者の為投票並びに投票取纏方の依頼を受け、其の投票取纏並買収資金として小切手にて金一万六千円の供与を受けたものである」と摘示してあり、原審第二回公判期日において検察官が公訴事実中「松山市三津末吉町なる右関谷勝利選挙事務所に於て」とあるを、「松山市三津末吉町福永議三方に於て」と「小切手にて金一万六千円」とあるを「現金にて金一万六千円」と変更したこと、及び原審第一回公判期日に検察官が「本件犯行日時は起訴状に昨年一一月頃となつているが、本人の供述と相違するので尚この点に付検討して見たい」と意見を述べたに拘らず、その後日時の点につき何等変更の請求をした形跡がないことは本件記録に徴し明らかである。本件公訴事実は被告人が徹底的に否認するところであり、その日時の点は場所及び授受した利益の点と共に証拠の判断及び被告人の防御の上に重大微妙な関係を有するものと認められるのであつて、単なる起訴状の誤記と認むべき場合ではないというべきである。原審が先ず検察官に訴因の変更を命ずることなく、公訴事実記載の日時より約二月遡つた日時に本件事実を認定判示したのは、訴訟手続に判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるものであつて、本論旨はこの意味において理由があり、原判決はこれを破棄すべきものとする。