高松高等裁判所 昭和24年(控)3799号 判決
原判決主文第三項には、押収の焼酎六升の換価代金千三百二十六円六十銭はこれを没収するとあり原審の記録及びその取調べた証拠によれば右換価金の押収せられている形跡のないことは所論の通りであるけれども没収はその理由を証拠によつて認定する必要がなく又押収中の物件でなければ没収できないわけでもない。
要は物件の存在と没収の要件を具備すれば足るものと解すべきところ当審の取調により右換価金は押収せられてはいないが目下高知地方検察庁に保管せられていることが明らかであるからこれを没収したことには何等の違法も存在しない。尤も原判決主文に「押収の」焼酎六升の換価金と記載せられている点は事実に副わないけれども右は本件焼酎六升の換価金を没収する趣旨に変りはないから右表示は判決の主文に影響を及ぼさないことが明らかである。故に本論旨は理由がない。
同第二点について。
しかし犯罪組成物件の換価代金は、同物件と同一性を維持するもので、刑法第十九条第一項第四号にいう「対価として得たる物」ではない。又判文において組成物件で犯人以外の者に属しないことを説示する以上同第十九条の適用を示せば十分であつて特に該当各号及び第二項の適用を明示する必要はないから、本論旨は全く理由がない。
( 註 本件は量刑不当により破棄自判)