高松高等裁判所 昭和25年(う)676号 判決
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判示第一の後段において被告人は昭和二十五年一月十九日頃肩書自宅で、不当に高価な額で取引する目的をもつて硫酸アンモニア一九五瓩(一二貫入り四叺と十五瓩)を所持していたと認め、それが物価統制令第十三条の二、第九条の二、第三十五条に該るとしているが右第九条の二の不当高価とは、経済取引の通念に照し適正な生産価格または仕入価格等を標準として算定された客観的に妥当性を有する正当な価格を著しく超過する場合をいうのであるから統制額を超える額をもつて直ちに不当高価と断ずるわけにはいかないばかりでなく、統制額を超える額による取引には、本来同令第三条、第三十三条を適用すべきであり右第九条の二は、原則として統制額の指定のない物資について適用があるもので統制額の指定された物資については極めてまれな、例えばその物が指定の規格に合致しないとき、または指定の効果がその人、地域その他等に及ばないとき等例外の場合でなければならないと解すべきところ、硫酸アンモニアについては判示の頃統制額の指定(昭和二十三年七月三十一日物価庁告示第五四七号)があつたのは公知の事実であるのに記録を調べても本件が叙上例外の場合に該るかどうかにつき、また不当高価と断ずるに前提となるべき基準の価格につき取調べをした形跡が見当らないのに直ちに不当高価取引を目的とする所持と判示しておるのは審理の不尽による理由の不備があり、かつ本件起訴状には、罰条は物価統制令第一三条の二とし訴因に判示同旨の事実を記載してある。ところが該記載物資は統制額の指定があるから、前段説示の理由により訴因とするところが統制額超過取引を目的とする所持(一三条の二、三条の関係)かあるいは不当高価取引を目的とする所持(一三条の二、九条の二の関係)かを釈明特定した上審査判決しなければならないものであつたのを看過している訴訟手続違背もある。