大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和25年(控)91号 判決 1950年4月22日

被告人

二宮義兼

主文

原判決を破棄する。

被告人二宮義兼を徴役五月に処す。

原審及当審における証訟費用は被告人の負担とする。

理由

被告人の弁護人安田幸太郞の控訴趣意要旨第一、二点について、

所論司法警察員に対する得能みさをの供述調書中摘示部分及得能影の供述調書中二宮義兼は日頃から多少氣が変であることを聞いたことがあるがどの程度氣が狂つているか何んな性質であるか知りません火をつけたとき屋外に押出さうとした際御霊移したと叫んで居りますのでやつぱり氣が変だ又あんな乱暴をするところをみると通常人とは思へませんとの記載部分並被告人の第一回供述調書の記載及それによつて窺はれる被告人の言動等を綜合すると被告人は当時心神の正常を欠いていて粍弱の状態に在つたと認めるのを相当とするような事情があり、かつ原裁判所における公判調書によれば弁護人は被告人が精神異常者である旨を以て酌量されたいと弁論をしていることも明かなのに原判決は心身の状況について何等説明を與へていないのは事実の認定を誤つたもの若しくは刑事訴訟法第三三五条第二項に違背した違法があるもので、それは判決に影響を及ぼすことは明かであるから他の論旨(量刑不当)に対する判断は省略し刑事訴訟法第三九七条第三八二条に則り原判決はこれを破棄する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例