大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和26年(ネ)322号 判決

控訴代理人は原判決を取消す控訴人が高松―神戸―大阪(小豆島経由)間、八幡浜―三崎、八幡浜―三瓶、八幡浜―宿毛間の各定期航路事業を営む権利を有することを確認する、訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とするとの判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は原判決事実摘示と同一であるからこゝにこれをを引用する。(証拠省略)

三、理  由

昭和二十四年八月二十五日(海上運送法施行当時)現在控訴会社の高松―大阪線、八幡浜―三崎線、八幡浜三瓶線、八幡浜―宿毛線間の各航路が休航中であつたことは当事者間に争がない。成立に争ない甲第二号証の一乃至四原審証人青木良作(第一回)の証言によれば控訴会社の右航路中終戦後は高松―大阪線航路は全然運航せず、その他の航路も二、三ケ月間運航したに止まり、本件定期航路事業免許申請当時は休航していたが、右は海運局より燃料油の配給割当がなかつたためであることが認められる。控訴人はそれは右海運局の燃料配給割当の不当不公平な取扱に基因すると主張するから、按ずるに成立に争ない甲第三号証同第五、六号証の各一同第六号証の二原審証人矢口順道同青木良作(第一、二回)の証言によつても控訴会社主張の如く未だ海運局の燃料油の控訴会社に対する配給割当が不当であつたということは到底認められず、他にこれを認むべき証拠はない。却つて原審証人繁谷唯一、同井馬栄当審証人永井勝四郎の各証言を綜合すれば、先ず高松―大阪線の航路については当時既に他に多くの会社の優秀船舶が就航しており、交通政策上控訴会社の就航の余地がなかつたこと、八幡浜―三崎線は別に八幡浜汽船就航中で、当時の燃料事情から控訴会社の就航は不可能であること、八幡浜―三瓶線は盛運汽船の外他に一船就航中にて更に控訴会社の船舶を配する必要がなかつたこと、八幡浜―宿毛線も前記盛運汽船就航中で旅客事情等より考えても更に配船するの必要を感じなかつたこと、以上の諸事情を考慮した末控訴会社に燃料油の配給をなさなかつたことが認められる。以上認定の事情より考察すれば、海運局が前記四航路に対する配油をなさなかつたことは不公平な処置とは言いえないのであつて、控訴人が右航路について燃料油の配給を得られなくても止むを得ないものといわなければならない。

そして当審証人永井勝四郎の証言により明かな如く「海上運送施行法施行の際現に航路事業を営んでいるもの」というのは同法施行の際現に運行しているもの並びに時間表、料金表を掲げているが、天災地変等偶然事故で短期間運航を休んでいる場合をさすのであつて、本件の如く正当事由による燃料割当のないため休航していた場合は含まないものと解すべきである。してみると控訴会社はその主張する如く海上運送法施行の際「現に定期航路事業を営んでいたもの」とは到底解することはできない。よつて同法施行の際現に定期航路事業を営んでいたことを前提とする控訴人の請求は他の判断をまつまでもなく理由がないからこれを棄却すべくこれと同旨の原判決は相当である。よつて民事訴訟法第三百八十四条により本件控訴を棄却し訴訟費用の負担につき同法第九十五条第八十九条を適用し主文のとおり判決する。

(裁判官 前田寛 近藤健蔵 萩原敏一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!