高松高等裁判所 昭和29年(う)280号 判決
尚職権で調査するに、原判決は未決勾留日数中五十日を本刑に算入しているところ、被告人は昭和二十九年一月三十一日勾留せられた後同年二月九日起訴せられ同月十八日保釈により釈放せれたものであり(記録第二三丁及び第一一丁参照、第一審判決言渡迄右保釈を取消された形跡はない)、本件において被告人を勾留した日数は十九日間であること記録上明かである。従て原審が未決勾留日数五十日通算を言渡したのは過誤に基くものと謂わなければならないけれども、かかる未決勾留日数通算の裁判が確定しても、現実に存した未決勾留日数を超ゆる通算部分はその実体がなくこれを執行するに由なきものであり、且つ検察官より控訴申立のない本件においては形式的にもせよ被告人に不利益に原判決を変更することは許されないから、原判決の右過誤は未だ判決破棄の事由となし難い(最高裁判所昭和二四年(れ)第一九八〇号昭和二五年九月五日判決、大審院明治四四年(れ)第四二二号同年四月七日判決各参照)。
(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 浮田茂男)