高松高等裁判所 昭和29年(う)506号 判決
所論は原判決は証拠として(二)岡崎義秀(三)湊直夫(七)中川清美の各副検事に対する供述調書を引用しているが、原審公判に於いて取調べられたのは何れもその謄本であつて原本ではないから原判決には虚無の証拠を引用した違法があるというのである。記録を調べて見ると、原判決に右供述調書が引用されていることは所論のとおりであり記録には右(二)(三)についてはその謄本(七)についてはその抄本が提出編綴されているけれども、昭和二九年五月二四日原審第二回公判調書、同年六月九日第三回公判調書によればそれぞれ右供述調書の取調をした旨記載があるから右は供述調書の原本につき証拠調がなされたものと認めざるを得ない。そして右謄本は何れも刑事訴訟法第三一〇条により適法に提出されたことが明らかであり又原本に代えて抄本を提出することについては刑事訴訟法の規定しないところであるから右(七)の抄本の提出は違法たるを免れないけれども証拠調は原本によつてなされたもので抄本によつてなされたものでないことが明らかであるから右の違反は判決に影響を及ぼさない。故に論旨は理由がない。
(裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 合田得太郎)