大判例

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高松高等裁判所 昭和29年(う)610号 判決

原判決の法令の適用を見ると被告人の原判示所為に対し盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条、第二条、刑法第二三五条、第五六条、第五九条、第五七条を羅列適用して被告人を懲役三年に処していることは所論の通りである。しかし右法条の適用は被告人の右所為を常習累犯窃盗と認定しこれに盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条を適用するに当り同条がその処罰の対象者を常習として同条第二条に掲げた刑法各条即ち刑法第二三五条、第二三六条、第二三八条若しくは第二三九条の罪又はその未遂罪を犯したものにして云々と規定し、なおその際窃盗を以て論ずるときと強盗を以て論ずるときとその法定刑をも異にしている関係上窃盗犯人の身分を明らかにする為そこに刑法第二三五条の適用を示したものであつて原審が常習累犯窃盗の外に刑法窃盗罪をも併せ処罰する趣旨でないことは右適条の配列から見て洵に明瞭であり、この点原判決の法律の適用は正当であつて所論は採るに足らない。

次に論旨は原審が常習累犯窃盗を認定しながらなお累犯加重したのは法律の適用を誤つた違法があると主張するのであるが盗犯等防止及び処分に関する法律第三条を適用処断した犯人が同時にその罪刑法所定の累犯の要件を充たすときは累犯加重を為すべきものと解するのが相当であるからこの点原判決は何等法令の適用を誤つていない。

たゞ原審は右の累犯加重を為すに当つては常習累犯窃盗はその法定刑が三年以上の有期懲役刑であるから当然刑法第一四条の制限に従わなければならないのに拘らず原判決には同条の適用を示していない。従つてこの侭では原判決の被告人に対する処断刑はその長期が懲役二十年を超えることとなり刑法第一四条に照し違法となるのであるがしかし飜つて本件の場合を考えてみると原審は被告人を常習累犯窃盗としてその最低刑の懲役三年を言渡しているのであるから他に情状酌量の余地が認められない限り刑法第一四条の明示がなくとも実質的には何等被告人に不利益を与えていないと云わなければならない。従つて少くとも本件の場合同条の遺脱は判決に影響を及ぼさないと認めるのが妥当である。論旨は結局理由がない

(裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 合田得太郎)

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