大判例

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高松高等裁判所 昭和29年(う)928号 判決

記録を精査し本件犯行の情状を検討すると、被告人は既に同種の前科三犯を累ね、本件犯行もその違反物件の量の多量に上ること等その情状軽しとしないが、本件犯行は直前の犯行で昭和二九年八月四日高松地方裁判所において懲役三月、三年間刑執行猶予の言渡をうけた食糧管理法違反事件のいわゆる余罪にあたりその犯行動機にも同情すべき点があり、改悛の情も認められ、被告人の環境、年令、その他諸般の情状を斟酌すれば刑法第二五条第一項に則り被告人に対しては刑の執行猶予を与えるのが相当と認められるので実刑を科した原審の科刑は結局重きに過ぎ破棄を免れない。

よつて刑事訴訟法第三九七条第一項第三八一条により原判決を破棄し同法第四〇〇条但書に従い直ちに判決する。

罪となるべき事実及び之を認める証拠は原判決に示すとおりである。

(法令の適用)

被告人の所為は食糧管理法第三一条第九条同法施行令第一一条同法施行規則第四七条罰金等臨時措置法第二条に該当し右は前記確定判決をうけた罪と刑法第四五条後段の併合罪になるので同法第五〇条を適用し、なお情状により食糧管理法第三四条に則り懲役並びに罰金刑を併科するものとし所定刑期並びに罰金額の範囲内で被告人を主文第二項のとおり量刑処断し刑法第一八条に則り同第三項のとおり罰金不完納の場合の換刑処分を定め、諸般の情状右懲役刑の執行を猶予するのを相当と認め同法第二五条第一項によりこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予するものとする。

なお昭和二八年法律第一九五号による刑法第二五条の改正により再度の執行猶予については総て同法第二五条第二項によるべきか、本件の如くいわゆる余罪については同条第一項によるか、従つてこれにつき同法第二五条ノ二により必要的に保護観察に付すべきか否かについては説の岐れるところであるが、当裁判所は右刑法改正後も余罪の執行猶予については刑法第二五条第一項によると解することが妥当であり、再度の執行猶予につき必要的に保護観察を付するものとする同法第二五条ノ二の趣旨にも適合するものと考える。従つて本件については右第二五条ノ二第一項後段の規定によらない。

(裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 合田得太郎)

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