大判例

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高松高等裁判所 昭和32年(う)306号 判決

一、原審における公判期日外の昭和三十二年四月二十五日の証人森田弘志、同北代純三に対する各尋問調書中には、それぞれ「刑事訴訟規則第五十二条の二の訴訟関係人の同意の有無」「有」の記載があるも、供述者の同意があつた旨の記載はなく、これら調書中には、いずれも調書の読み聞かせ、供述者の署名押印等に関する刑事訴訟規則第三十八条第三項から第六項までの規定による手続をした旨の記載がなく、かかる手続が行われた形跡のないことは所論の通りである。同規則第五十二条の二には、これらの手続を省略するにはその省略につきその証人尋問に「立会つた訴訟関係人及び供述者の同意」を要する旨の規定の存することも所論の通りである。

従つて形式論理上前示各証人尋問におけるかかる手続の省略は「訴訟関係人」だけの同意を得て、その供述者の同意なしに行われたかの如く見えるのである。しかし前示各調書における「刑事訴訟規則第五十二条の二の訴訟関係人の同意の有無」の記載は活版刷りであつて、その「訴訟関係人」の次に「及び供述者」の記載が脱落しているのに気附かず不用意に同印刷用紙が使用せられたもので、真実は立会つた訴訟関係人(検察官、被告人、代表者、代理人、弁護人、補佐人を言う)及び供述者の同意があつたのではないかとも推測せられるのであるが、仮にその供述者の同意がなかつたとしても、それらの調書を証拠とすることにつき訴訟関係人から異議の申立があつたと認むべき形跡がないがら、原判決がこれらの調書を証拠としたことは違法とは認められないのである。

(裁判長判事 塩田宇三郎 判事 谷弓雄 判事 渡辺進)

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