大判例

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高松高等裁判所 昭和33年(う)221号 判決

弁護人の所論は原判示第一の(ロ)の事実につき第一稲荷丸の通信士河野文一郎は八幡浜漁業用海岸無線局から送信があつた場合これを受信する義務があり、右送信が暗号による場合、受信後これを翻訳してはじめてその内容が明らかとなり所定の通信事項の範囲を逸脱した違法なものであるか否かが判明するものであるから受信すること自体は電波法に違反するものではないというのである。

然し河野文一郎は第一稲荷丸に設置された漁業用無線局の通信士として同無線局宛に八幡浜漁業用海岸無線局から送信がある場合呼出があれば直ちに応答し受信する義務のあることは所論のとおりであるが右通信内容が免許状に記載せられた通信事項の範囲を逸脱するときは判明次第直ちにこれを拒否すべきであり、受信しない旨を適宜の方法により発信局に対し意思表示すべきである。これをしない限り右受信は違法な受信といわざるを得ない。

然るに記録を精査し、検討するも河野文一郎がかかる措置をとつた事実は認められないのみならず原判決挙示の証拠によれば本件巡視船の動静を知らず暗号による通信は河野文一郎自身が暗号を作成し、被告人と打合せた上のことであり、河野文一郎に於ては本件通信の受信をはじめた時直ちにその内容が巡視船の動静に関するもので免許状に記載された通信事項である漁業通信でないことは判明していたものと認められる。

従つてこれを受信した河野文一郎の所為は免許状に記載された無線局の目的、通信事項の範囲を超えて受信したもので電波法の規定に違反して無線局を運用したものであり、同人の使用主であり、又無線局の免許人たる被告人はその責任を免れ得ない、原審の認定は相当であり、この点についての論旨は理由がない。

(裁判長判事 谷弓雄 判事 渡辺進 判事 松永恒雄)

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