高松高等裁判所 昭和34年(う)196号 判決
判決理由〔抄録〕
原審が取調べた全証拠を検討するに、被害者岡林登が近藤新方便所の建物に接着して道路より若干低くなっている溝の中に佇立していたこと、これは同人が被告人の運転する貨物自動車を避けるため其処に避譲していたものと判断されること、被告人が貨物自動車をその佇立している岡林登に極めて接近させて進行したこと、その状況は助手席に同乗していた伊井平治郎が、このまま進むとよけておる人とすれすれに通る心配があるので危いと思い、気をつけんかと被告人の左の肩を軽く叩いて注意し、又すれちがったとき危いと思って後を振り返った程であったこと等を綜合するときは、被害者が自ら自動車に倒れかかったものとは到底解されず、被告人がその運転する貨物自動車を、岡林登に接触せしめたものであることは明らかである。又仮りにたとえすれちがう際岡林登が身を動かしたため自動車と接触顛倒するに至ったものとしても、自動車運転者たるものは避譲して居る者が体を動かせば、自動車に接触する虞があるような左様な危険な状態下に車を運転すべきでないことは当然で、本件は被告人が尽すべき注意義務を怠ったために惹起した事故であることは極めて明瞭であり、原判示事実は、その挙示する証拠により優に証明される。