大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高松高等裁判所 昭和34年(く)13号 決定 1959年11月16日

少年 A子(昭一八・三・一〇生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は記録に綴つてある少年本人の抗告申立書に記載のとおりであるからここにこれを引用する。

論旨は、少年の継母S子や伯父Tは私を少年院に収容せしめて妊娠の中絶手術をして貰えばその後すぐ帰して貰えるように考えていたようである、しかし私の手術は少年院でなくても病院で受けることができる、かような考えを持つている者の意見を重視して為された本件決定は不当であるから更に審判ありたいというのである。

しかし原審が少年を中等少年院に送致する旨決定したのは、少年に妊娠の中絶手術を為さしめるためではない。又S子やTもかような意図のもとに少年院収容を希望して居るのでもない。少年を少年院に収容することにしたのは、原決定が詳細説示して居るように、少年がその性格環境に照し将来罪を犯す虞があると認められるので一定期間国家の矯正施設に収容して適正な教育を施すためである。而して記録を精査するに原審の右措置は相当であつて、原決定には決定に影響を及ぼす法令の違反も重大な事実の誤認も処分の著しい不当もない。

よつて本件抗告は理由がないから少年法第三三条第一項により主文のとおり決定する。

(裁判長判事 三野盛一 判事 渡辺進 判事 小川豪)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例