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高松高等裁判所 昭和35年(く)4号 決定 1960年4月04日

少年 B(昭一五・五・六生)

主文

原決定を取消す。

本件を松山家庭裁判所西条支部に差し戻す。

理由

本件抗告の趣意は、記録中の附添人宮崎忠義名義の抗告趣意書に記載してあるとおりであるからこれを引用する。

先ず職権を以て調査するに、原裁判所が本件審判期日(昭和三五年一月二一日)に保護者である少年の親権者母M子を呼出さず、これに意見陳述の機会を与えずして、少年を中等少年院に送致する旨の決定をしたことは、添付の少年保護事件記録に徴し明らかであり、右審判期日当時保護者である前記M子が堺市○○○○○○×丁目○○電設現場事務所に炊事婦として動めていたことは、添付の少年調査記録中の少年調査票及び当裁判所の嘱託に対する堺南警察署長の回答書の各記載により明らかである。而して右保護者の所在は審判期日の前々日既に原裁判所に判明していたのであるから(記録中の意見書参照)、審判期日を変更してでも、これを呼出し意見陳述の機会を与えるべきであつて、呼出しても期日に間に合わないという理由で、全然呼出手続をしないことは許されないと解する(少年審判規則第二五条第二項)。前記堺南警察署長の回答書によれば保護者の呼出は不可能ではなかつたと思われるし、もし保護者が出頭し旧雇主○武○一等と協議した場合、少年のために更に適切な保護方法が具体化したかも知れぬのであつて、そのときでもなお原裁判所が原決定と同一の結論を採つたであろうとはいいきれない。以上要するに原裁判所の審判手続には決定に影響を及ぼす法令の違反があるから、本件抗告趣意に対する判断を省略し、少年法第三三条第二項少年審判規則第五〇条に則り原決定を取消し、本件を松山家庭裁判所西条支部に差し戻すこととし、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 加藤謙二 判事 渡辺進 判事 小川豪)

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