高松高等裁判所 昭和61年(う)97号 決定 1986年5月19日
主文
本件控訴は、被告人の昭和六一年五月九日付書面による控訴の取下によつて終了した。
理由
被告人は、その恐喝未遂被告事件について、昭和六一年三月一八日徳島地方裁判所がなした判決に対し昭和六一年三月一八日控訴の申立をし、次いで同年五月九日(当裁判所受付は同月一〇日)控訴取下の書面を提出したものであるが、右取下は心神喪失又は心神耗弱時になされたもので無効のものであり、控訴取下の撤回をするというものである。
しかしながら、記録を検討してみても、被告人が当時心神喪失状態であつたこと、その他判断能力の欠如を窺わせるに足る資料はないから右取下が無効ということはできない。そして、本件控訴は右取下によりすでに終了しているのあるから、もはや取下の撤回は認められない。
以上の次第で本件控訴は右取下により終了したものであるが、被告人が控訴取下の無効を主張し、その撤回をするというので、主文のとおり決定する。