大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

高知地方裁判所 平成14年(わ)286号 判決 2002年9月03日

主文

被告人を懲役六月に処する。

この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、平成一四年六月二〇日、高知地方裁判所から、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律一〇条に基づき、同日から起算して二週間、高知市横浜新町<番地略>所在の××横浜一〇二号の住居から退去せよとの保護命令の言渡しを受けていたものであるが、速やかに前記住居から退去せず、もって、保護命令に違反したものである。

(証拠の標目)<省略>

(法令の適用)

被告人の判示所為は配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律二九条、一〇条二号に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文により被告人に負担させることとする。

(量刑の理由)

被告人は、警察官や知人から裁判所の退去命令に従うように再三言われていたのにこれを無視して従前の住居に居残っていたものであり、法規を遵守しようとしない態度が顕著であることなどに照らすと、その刑事責任を軽くみることはできないけれども、すでに離婚していること、元妻が裁判所に対して保護命令の申立てに及んだことについては自分に非があったことを認め、今後は元妻につきまとわない旨を述べて反省していること、前科がないことなどの事情を考慮し、刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官・佐file_3.jpg哲生)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例