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高知地方裁判所 平成6年(わ)170号 判決

判決主文

被告人を懲役二年に処する。

この裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実の要旨

被告人両名は、被告人山下一水が糖尿病等によって左眼の視力を失っていたことを奇貨とし、両眼失明による重度障害保険金等名下に金員を騙取しようと企て、視力障害による重度障害保険金等は、両眼がいずれも失明したものでなければ給付されないものであることを知りながら、山下香枝と共謀の上

第一 郵政省簡易保険局長との間で締結していた、被告人山下一水を契約者及び被保険者、被告人山下佐保子を受取人とする傷害特約付特別養老保険の保険金を騙取するため、平成六年二月三日ころから同月七日ころまでの間、高知医科大学附属病院医師上野脩幸、室戸病院医師橋田正継及び同竹村恵に対し、被告人山下一水の右眼は日常生活に支障がない程度の視力を有するにもかかわらず、失明状態とされる〇・〇二以下の視力しか有しない旨虚偽の申立てをし、右上野らをしてその旨誤診させ、右橋田及び竹村をしてその旨の内容虚偽の簡易保険障害診断書を作成させた上、同月七日ころ、高知県室戸市浮律七六番地一室戸郵便局において、同局担当者深尾弘に対し、両眼失明に係る重度障害保険金支払請求書と共に右内容虚偽の簡易保険障害診断書を提出して重度障害保険金の支払を求め、そのころ、同局から高松市番町五丁目六番三七号高松簡易保険事務センターに右請求に係る関係書類を送付させ、同センター第一支払課長青木英雄をして、被告人山下一水の両眼が失明したものであり、右保険契約に基づく保険金の支払義務があるものと誤信させて重度障害保険金一〇四六万二四一四円の支払いを決定させ、よって、同月一〇日、右センターから、被告人山下佐保子宛の保険金支払通知書の送付を受けた上、同日、右室戸郵便局において、右支払通知書を同局係員に呈示して、右金額の現金の交付を受けてこれを騙取し

第二 住友生命保険相互会社(代表取締役浦上敏臣)との間で締結していた有限会社山下建設を契約者及び受取人、被告人山下一水を被保険者とする特別終身保険及び団体定期保険の各保険金を騙取するため、前記の医師上野及び橋田に対する虚偽の申立てにより、右橋田をして前同様の誤診に基づく内容虚偽の診断書を作成させた上、同月五日ころ、高知県室戸市浮律六七番地一住友生命保険相互会社高知支社室戸支部において、同支部担当者上岡美根子に対し、両眼失明に係る高度障害保険金支払請求書と共に右内容虚偽の診断書を提出して高度障害保険金の支払を求め、そのころ、同支部から大阪市中央区城見一丁目四番三五号所在の同社大阪本社保険金部保険金課及び企業保険契約部団体保険課に、右請求に係る関係書類を送付させ、右各課調査役伊藤弘らをして、被告人山下一水の両眼が失明したものであり、右各保険契約に基づく保険金の支払義務があるものと誤信させて高度障害保険金合計一二二二万八二〇〇円の支払を決定させ、よって同月一八日及び二一日の二回にわたり、同社経理部経理課から高知県室戸市浮律四六五番地株式会社四国銀行室戸支店の有限会社山下建設代表取締役山下一水名義の普通預金口座に、右金額の振込送金を受けてこれを騙取し

たものである。

被告人有限会社山下建設は、高知県室戸市領家一〇六番地一に本店を置き、土木工事業等を営むもの、被告人山下一水は、被告人会社の代表取締役として同社の業務全般を統括するもの、被告人山下佐保子は、被告人会社の取締役として同社の現金の管理、支払業務等を担当するものであるが、被告人山下一水、同山下佐保子両名は、共謀の上、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空労務費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上

第一 昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二六八八万三七六八円で、これに対する法人税額が一〇三二万七一〇〇円であるにもかかわらず、平成元年七月二五日、高知県安芸市矢ノ丸四丁目五番地所在の安芸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五九万六八三〇円で、これに対する法人税額が一七万五一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税一〇一五万二〇〇〇円を免れ

第二 平成元年六月一日から同二年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一七五一万七八九四円で、これに対する法人税額が六一一万七二〇〇円であるにもかかわらず、平成二年七月三〇日、前記安芸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六二万六八三八円で、これに対する法人税額が一七万二〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税五九四万五二〇〇円を免れ

第三 平成二年六月一日から同三年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一八九六万九〇一〇円で、これに対する法人税額が六三一万一四〇〇円であるにもかかわらず、平成三年七月三〇日、前記安芸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五二万七二四〇円で、これに対する法人税額が三八万五六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税五九二万五八〇〇円を免れ

第四 平成三年六月一日から同四年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一一六四万六八一二円で、これに対する法人税額が三五六万八六〇〇円であるにもかかわらず、平成四年七月三〇日、前記安芸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二五九万三六二二円で、これに対する法人税額が六八万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税二八八万一二〇〇円を免れ

第五 平成四年六月一日から同五年五月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一三三三万九七二六円で、これに対する法人税額が四二二万三九〇〇円であるにもかかわらず、平成五年八月二日、前記安芸税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二七九万一二三円で、これに対する法人税額が七六万三〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により法人税三四六万九〇〇円を免れ

たものである。

適用した罰条

一1 刑法 六〇条、二四六条一項

2 刑法 六〇条

法人税法 一五九条

二 刑法 四五条前段、四七条本文、一〇条

三 刑法 二五条一項

(裁判官 久我保惠)

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