高知地方裁判所 昭和48年(モ)126号 決定 1973年4月09日
申立人(原告) 和田知教
<ほか五名>
右申立人六名代理人弁護士 藤原充子
同 山下道子
同 土田嘉平
同 藤原周
同 梶原守光
相手方(被告) 田辺製薬株式会社
右代表者代表取締役 平林忠雄
<ほか五名>
主文
当裁判所昭和四八年(ワ)第一三三号損害賠償請求事件について、申立人らに対し、いずれも訴訟上の救助を付与する。
理由
一、申立人らの本件訴訟救助申立の趣旨および理由は、本件記録に編綴してある「訴訟救助の申立」と題する書面のとおりであるから、ここにこれを引用する。
二、当裁判所の判断
1 本件疎明資料によれば、申立人らはいずれもスモン病に罹患患した者で、本案訴訟について勝訴の見込みがないとはいえないものであることが疎明される。
2 そこで、民事訴訟法第一一八条の趣意から、申立人らに対し、訴訟救助を付与すべきか否かを検討する。
本件疎明資料によれば、申立人浜田梅栄、同仲沢春儀、同笹岡福於は、いずれも無職であって所得がないこと、申立人和田知教、同宮本寅子は、一応定職に就き若干所得があるけれども、いずれもその額が少額であって家族の者の援助がなければその生活を維持することができない程度であること、申立人矢野重治は、高知市役所労務課管理係の職員として月収一四、五万円の所得を得ているが、現在五四歳という高齢とスモン病による身体的不自由のため今後長く勤務を続けることができない実状にあり、財産としては何一つなく、住居も借家であってその賃料として月一万一、五〇〇円を支払っていること、高知県市町村共済組合から借金をし、月四、八〇〇円をその支払いにあてていることの他に長男矢野章夫に月二万円の仕送りをしていること等から漸く生活を維持できる程度にしか過ぎないこと、
申立人らは、いずれも本案訴訟の準備追行、維持のためにも、相当多額の費用を要しており、今後訴訟の進行に伴い、これら費用の出費がさらに増大され、現在以上に申立人らおよびその同居の親族の生活を窮迫ならしめるものであること等の事情が疎明されている。
以上の疎明事実によれば、申立人らがいずれも民事訴訟法第一一八条に規定する「訴訟費用を支払う資力なき者」にあたると認められる。
よって、申立人らの本件申立を相当と認め、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 安藝保壽 裁判官 上野利隆 林豊)