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高知地方裁判所 昭和57年(ワ)541号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

三<証拠>を総合すると、次の事実を認めることができる。

1 昭和五七年一一月一一日に市町村職労十和村支部から代議員の氏名を記載した書面の送付を受けた選挙長は、直ちに同支部に対して、右書面が届いた旨の連絡と団体の正式名称及び委員長名の照会を電話でなした。翌一二日午後二時ころ、再び選挙長から右支部の山崎副委員長に対し、前記書面には代議員の生年月日、職名、共済組合員数の記載がない旨の電話連絡があつたので、山崎は右の各点を調査のうえ、同日午後三時ころ選挙長に電話で報告したところ、選挙長から届出書類を速達で郵送して欲しいと言われたので、同日速達で右書類を送付した。

2 同年一一月一一日市町村職労大正町支部から代議員の氏名等を記載した書面の送付を受けた選挙長は、翌一二日午後二時ころ同支部に対して、届出書に代議員数及び組合員数が記載されていないので、書面にて速達で送付して欲しい旨電話連絡をなした。右連絡を受けた同支部の下藤書記長は、組合員数及び代議員数を調査のうえ、同日選挙長に電話で報告し、更に右調査内容を記載した書面を速達で選挙長宛送付した。

3 同年一一月九日幡多中央消防組合から代議員の氏名等を記載した書面の送付を受けた選挙長は、同月一二日午後一時三〇分ころ、右組合に対し、右書面に代表者印と組合員数、代議員数が漏れているので書面で追完するように電話で連絡した。右連絡を受けた同組合消防長は、直ちに、指摘された事項を記載した書面を作成送付し、これは同日中に宿毛市役所に到達した。一方、同日午後四時三〇分ころ右消防長から連絡を受けた同組合の田頭義十郎は、直ちに電話で選挙長に対し、追完の書面を同日午後七時ころ持参することの可否及び電話連絡で追完をすませることの可否を尋ねたところ、選挙長からいずれも不可と言われたが、同時に、翌一三日に文書を速達で郵送してもらえれば選挙長が先の不備な文書と差し替えておく旨言われたので、田頭は翌日、以前に送付した書面と同一内容で代表者印が補充された書面を速達で送付した。

以上の事実が認められ、これに反する証拠は存しない。

四本訴訟における争点は、前項で認定された事実経過のもとで、いずれの団体の届出も不備であるとして、三団体の五名の代議員については資格なしとして投票させなかつた選挙長の行為に対する評価である。

ところで、本件選挙において、代議員の氏名、組合員数等選挙長に対する届出事項の届出及び追完の方式が書面に限られていたか否かについて判断するに、<証拠>によれば、定款及び労働組合委員長(職員代表)宛の「任期満了に伴う組合会議員の選挙について」と題する書面のいずれにも届出の具体的方式についての記載がなく、従つて統一届出様式は定められていないことが認められる。<証拠>中には、選挙長に対する説明会において届出は文書によるとの説明があつたとか、届出はずつと文書によつてきたという部分があるが、<証拠>によれば、昭和五五年に行なわれた選挙及び本件選挙において届出が電話で受け付けられた例のあることが認められるのであつて、右の事実に照らして前記各証言はいずれも採用できず、本件全証拠によつても、届出は文書によるべしとの指示がなされていたと認めるに足りない。

また、<証拠>によれば、昭和五五年の選挙においては、市町村職労十和村支部、同大正町支部、幡多中央消防組合のいずれの届出書にも組合員数の記載が欠けていたが、当時の選挙長において、右各団体に対し組合員数を電話で確認したうえで、届出書上に数字を記入したことが認められる。

更に、<証拠>によれば、本件選挙における土佐清水市職員労働組合及び自治労大方町職員労働組合の各届出書類には、いずれも組合員数及び代議員数の記載が当初漏れており、右各団体は、選挙長から書類不十分との連絡を受けたが、職務多忙のため、右各団体と同じく自治労に所属する宿毛市職員労働組合の委員長に組合員数及び代議員数の記入を依頼したところ、同市職員徳永善道が両書類に右内容を補記したことが認められる。

以上の事情によれば、選挙長が届出最終日に、届出書の追完を文書でなすことに固執するのは、明確な根拠がないばかりか、従前と異なる方式を突然要求することによつて難きを強いることにもなりかねず、また、他とのバランスを著しく失つて公平さに対する疑念も生じかねないのであつて、選挙長としては、その指示によつて投票日前に郵送されてきた書面を有効なものとして扱うか、又は届出最終日における電話による追完も可とすべきであつたのであり、結局、五名の代議員について投票させなかつた選挙長の行為は違法と評価される。

(山口茂一 古賀寛 大谷辰雄)

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