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高知地方裁判所安芸支部 昭和58年(ワ)19号・昭58年(ワ)22号 判決

主文

一、第一事件原告と同事件被告内川長年との間において別紙物件目録(一)及び(二)記載の土地建物について同事件原告が所有権を有することを確認する。

二、第一事件被告内川長年は、同事件原告に対し、別紙物件目録(二)記載の建物を明け渡せ。

三、第一事件被告内川長年は、同事件原告に対し、昭和五七年四月二八日から前項の建物明け渡しずみに至るまで一か月一〇万円の割合による金員を支払え。

四、第一事件被告岩佐光廣は、同事件原告に対し、別紙物件目録(一)記載の土地について、高知地方法務局安芸支局昭和五六年二月四日受付第三六六号抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。

五、第二事件原告の請求をいずれも棄却する。

六、訴訟費用は第一事件被告らの負担とする。

七、この判決は、第二及び第三項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一、当事者の求めた裁判

(第一事件について)

一、請求の趣旨

1. 主文第一乃至第四項同旨

2. 訴訟費用は第一事件被告らの負担とする。

3. 第二及び第三項について仮執行宣言

二、請求の趣旨に対する答弁

1. 第一事件原告(以下「原告」という。)の請求を棄却する。

2. 訴訟費用は原告の負担とする。

(第二事件について)

一、請求の趣旨

1. 原告は、被告内川長年(以下「被告内川」という。)に対し、別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件(一)土地」という。)について高知地方法務局安芸支局昭和五六年三月二三日受付第八九六号所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

2. 被告内川と原告との間において別紙物件目録(七)建物(以下「本件(七)建物」という。)について被告内川が所有権を有することを確認する。

3. 原告は、被告内川に対し、本件(七)建物について高知地方法務局安芸支局昭和五六年三月二三日受付第八九六号所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

4. 訴訟費用は原告の負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁

1. 被告内川の請求をいずれも棄却する。

2. 訴訟費用は被告の負担とする。

第二、当事者の主張

(第一事件について)

一、請求原因

1. 昭和五五年一二月ころ原告は被告内川と同人所有の本件(一)乃至(五)記載の土地建物を代金二〇〇〇万円で買い受ける合意をなした。

その際、右売買(以下「本件売買」という。)に附帯して、右土地に隣接する被告内川及び同人の父内川長義所有の土地に原告のために建物所有を目的とする賃借権を設定する合意もなされた。

2. 昭和五五年一二月二八日、被告内川から、本件(一)土地を除いた本件売買物件について同人が原告から月二〇万円で賃借するので本件売買から本件(一)土地を除外してもらいた旨の申し入れがあり、原告はこれを承諾した。

右同日、原告は、被告内川に対し、本件売買代金の内金として二〇〇万円支払ったが、本件売買物件の残代金の支払いと所有権移転登記手続の時期については、本件各物件について農地法上の許可が必要なもの(本件(三)土地)、被告内川が第三者から買い受けたものの名義変更がなされていないもの(本件(五)土地)がありまた、被告内川が債権者のために抵当権設定登記をしているものもあったので、抵当権設定登記の抹消や農地法上の許可を得て、原告への所有権移転登記が可能となった段階で原告と被告内川との間で協議して定めると約した。

3. 昭和五六年一月、被告内川から原告に本件売買の残代金中一五〇万円の支払いが早急になされるのであれば、前記2項で除外した本件(一)土地を再度売買の対象とし、本件(一)、(二)及び(四)の土地建物について所有権移転登記手続をするとの申し入れがあり、原告はこれを承諾し、同月三〇日原告は被告内川に一五〇万円を支払った。

同年三月二三日被告内川は原告に本件(一)、(二)及び(四)の土地建物について所有権移転登記手続をした。

なお、被告内川の原告に対する右申し入れは、被告内川が訴外中山日和に多額の借金があり、同人のために本件売買物件の一部と被告内川の父内川長義名義の所有物件に共同担保として抵当権を設定していたところ、差し当たり一五〇万円を訴外中山に支払わないと右物件を処分されるからとのことでなされたものである。

4. ところが、昭和五六年二月四日被告内川は、原告の不知のうちに、本件(一)土地について訴外〓口孝利のため債権額一六〇〇万円の抵当権設定登記(高知地方法務局安芸支局昭和五六年二月四日受付第三六六号抵当権設定登記(以下「本件抵当権設定登記」という。」)をした。

5. 右登記の事実を知った原告は、同年五月被告内川、訴外中山(右〓口の代理人)の三者間で、原告は被告内川に残代金一二三〇万円を支払うが、その支払い金は訴外中山に交付して、被告内川の訴外中山に対する債務の弁済に充てさせる、同時に訴外中山は本件抵当権設定登記の抹消登記手続をする、被告内川は原告に対し残余の売買物件である本件(三)及び(五)の各土地について所有権移転登記をするとともに同人所有の本件(六)土地に原告のために賃借権設定登記をする旨の合意を得た。

なお、売買代金の残金四二〇万円は、被告内川により本件(二)及び(四)の土地建物につき訴外高知県信用保証協会に対し、極度額六〇〇万円の根抵当権設定登記がなされており、その残債務額が四二〇万円余りなので、これを原告が立て替え払いして残代金の支払いに充てることとなった。

6. 昭和五六年五月二六日、原告は訴外中山に対し前記合意による一二三〇万円を交付し、さらに、原告は、昭和五七年四月二七日訴外高知県信用保証協会に対し被告内川の債務四二四万二七二七円を弁済して本件(二)建物及び本件(四)土地についての根抵当権設定登記の抹消登記をうけた。

7. しかしながら、被告内川は本件(三)及び(五)の各土地についての所有権移転登記と本件(六)土地についての賃借権設定登記をしたのみで、本件(二)建物を原告に明け渡さず、同建物中本件(七)建物は原告に売却していないと主張するに至った。

8. 原告が本件売買代金を完済した翌日である昭和五七年四月二八日以降の本件(一)建物の相当賃料は少なくとも一か月一〇万円である。

9. 更に、本件(一)土地について本件抵当権設定登記の抹消登記手続がなされていないばかりか、その抵当権設定登記につき、昭和五六年五月二七日受付をもって被告岩佐光廣(被告内川の義弟)に対し同月二六日債権譲渡を原因として抵当権移転の附記登記がなされていた。

よって、原告は、被告内川に対して、本件(一)及び(二)の土地建物について原告が所有権を有することの確認を求めるとともに、所有権に基づき本件(二)建物の明け渡しと原告が本件売買代金を完済した昭和五七年四月二七日の翌日から明け渡しずみまで一か月一〇万円の割合による損害金の支払いを求め、被告岩佐に対して所有権に基づき本件(一)土地について本件抵当権設定登記の抹消登記手続を求める。

二、請求原因に対する認否

(被告両名)

1. 請求原因1の事実のうち、本件売買代金が二〇〇〇万円であったことは認める。その余は否認する。

本件売買の対象となった物件は本件(三)乃至(五)の各土地と本件(二)建物のうち本件(七)建物を除いた建物である。被告内川は本件(一)土地上に本件(七)建物があるので両物件とも売却するつもりはなかった。また、賃借権設定も本件(六)土地のみであった。

2. 請求原因2の事実のうち、本件売買契約がなされたのが昭和五五年一二月二八日であったこと、同日、原告から被告内川が二〇〇万円を受け取ったこと、本件売買物件中に被告内川が債権者のために抵当権設定登記をしているものもあったこと、本件売買物件の残代金の支払いと所有権移転登記手続の時期について本件各物件に農地法上の許可が必要なもの(本件(三)土地)、被告内川が第三者から買い受けたものの名義変更がなされていないもの(本件(五)土地)があったことは認める。

その余は否認する。原告から被告内川が受け取った二〇〇万円は契約成立時の手附である。

3. 請求原因3の事実のうち、被告内川が訴外中山に債務を負っており、抵当権設定登記がなされていたこと、原告から一五〇万円受け取ったことは認める。

その余は否認する。

4. 請求原因4の事実のうち、昭和五六年二月四日被告内川が、本件(一)土地について訴外〓口のため本件抵当権設定登記をしたことは認める。

その余は否認する。

5. 請求原因5の事実のうち、本件(六)土地に原告のために賃借権設定登記をすること、本件売買残代金が四二〇万円であること、本件(二)及び(四)の土地建物につき訴外高知県信用保証協会に対し、極度額六〇〇万円の根抵当権設定登記がなされていることは認める。

その余は否認する。

6. 一二三〇万円が訴外中山に交付されたことは否認する。右金員は被告内川の代理人たる訴外中山に交付されたものである。

その余は知らない。

7. 請求原因7の事実は認める。

8. 請求原因8の事実は知らない。

9. 請求原因9の事実は認める。

三、抗弁(被告岩佐)

1. 被告内川は訴外〓口から金員を借り受け、同人のために昭和五六年二月四日本件(一)土地について本件抵当権設定登記をなした。

2. 被告岩佐は、昭和五六年五月二六日訴外〓口から上記抵当権付き債権の譲渡を受け、債務者である被告内川の確定日付ある承諾も得た。

四、抗弁に対する認否

1. 抗弁1の事実のうち被告内川が訴外〓口から金員を借り受けたことは否認するが、その余は認める。

2. 抗弁2の事実は否認する。

五、再抗弁

原告は本件(一)土地の買い受け人であるところ、昭和五六年五月二六日同土地の抵当権者である訴外〓口の代理人訴外中山に請求原因5の合意に基づき一二三〇万円を交付したので被担保債権は消滅し、抗弁1記載の抵当権も消滅したものである。

六、再抗弁に対する認否

再抗弁事実は争う。

(第二事件について)

一、請求原因

1. 被告内川は、本件(一)土地を訴外久保嘉彦から買い受け、所有した。

2. 被告内川は、本件(四)土地上に本件(七)建物を除く本件(二)建物を昭和四九年一月二五日新築し、その後本件(一)土地上に昭和五二年九月一〇日本件(七)建物を増築して所有した。

3. しかるに、本件(一)土地及び本件(七)建物を含む本件(二)建物についていずれも原告名義の高知地方法務局安芸支局昭和五六年三月二三日受付第八九六号所有権移転登記がなされた。

4. 昭和五五年一二月二八日被告内川はその所有する不動産を売買する旨の契約を原告との間で締結したが、本件(一)土地及び本件(七)建物はその対象となっておらず、前記各登記はいずれも不実のものであるが、原告はその所有権を主張する。

よって、被告内川は、原告に対し、所有権に基づき本件(一)土地及び本件(七)建物について高知地方法務局安芸支局昭和五六年三月二三日受付第八九六号所有権移転登記の抹消登記手続を求めるとともに本件(七)建物について被告内川が所有権を有することの確認を求める。

二、請求原因に対する認否

請求原因1乃至3の事実は認める。請求原因4の事実は争う。

三、抗弁

本件(一)及び(七)の土地建物は第(一)事件の請求原因1乃至6の経緯で原告が被告内川から買い受けたものである。

四、抗弁に対する認否

抗弁事実を否認する。

第三、証拠<略>

理由

第一、第一事件について

一、原告及び被告内川との間で昭和五五年一二月二八日被告内川所有の不動産を売却するとともに同人の父内川長義所有の土地を原告に賃貸する旨の契約を締結したこと及び被告内川が本件(二)建物を占有していることは当事者間に争いがない。

二、そこで、本件売買契約において本件(一)及び(二)(本件(七)建物を含む)の土地建物がその対象となって、原告に売却され、その所有権が移転したかについて検討する。

原告本人尋問の結果によれば、原告は請求原因1乃至3の事実に沿う旨の供述をし、これによれば本件(一)及び(七)の土地建物の所有権は原告に移転したことになるので、以下同人の供述の信用性について判断する。

1. 成立に争いのない甲第一及び乙第一号証(本件売買契約書)及び証人岡林千鶴子の証言によると、本件売買契約締結の日に先立って原告から司法書士の岡林千鶴子に契約書(甲第一(原告所持分)及び乙第一号証(被告内川所持分))の作成依頼がなされ、同人がタイプ部分を作成し、売買物件として本件(一)及び(二)の土地建物の表示もなされていたこと、当初タイプ印字がなされていた甲第一及び乙第一号証の本件(一)土地記載部分が削除され当事者の訂正印が押捺されていることが認められる。

これによれば、昭和五五年一二月二八日以前に対象物件が特定し、本件(一)及び(二)の土地建物もその対象となっており、契約当日本件(一)土地が除外されたとみるのが相当であり、請求原因1及び2に沿う原告の供述は信用できる。

2. 前掲甲第一及び乙第一号証によれば、当初内金は二〇〇万円で、残金の支払い時期については、被告内川が本件売買物件について抵当権などの負担のない完全な所有権を移転しうる段階で原告及び被告内川間で協議して決めることになっていた(甲第一及び乙第一号証の第五乃至第七条)ことが認められるが、それにもかかわらず、昭和五六年一月三〇日原告が被告内川に一五〇万円支払っていることは当事者間に争いがない。成立に争いのない甲第七号証の一乃至四によれば、右同日段階では、本件(一)乃至(四)の土地建物には第三者のために抵当権設定登記が存在し、本件(三)土地の地目は畑のままで変更されておらず、本件(五)土地は前主からの所有権移転登記が未了であることが認められ、前記条項に照らせば、残金の一部ではあっても支払い時期に至ってないことが明らかである。

そうすると、原告が被告内川に一五〇万円を支払うについてはその代償として原告に有利な契約の変更があってしかるべきであって、被告内川が本件(一)土地を再び売買の対象とし、原告へ本件(一)、(二)及び(四)の土地建物の所有権移転登記をする旨申し出たとの原告の供述は合理的というべきである。しかも本件(一)土地には農協等に被担保債権の総額が七五〇万円の抵当権も設定されているのであって、一五〇万円の支払いと引き換えに売買対象に加えても格別不自然とはいえない。

さらに、原告の供述は前掲甲第一号証の内金の記載が三五〇万円と訂正変更され、物件表示に本件(一)土地が加えられていることとも符合する。以上によれば本件(一)土地が売買対象となった旨の原告の供述は信用できる。

また、成立に争いのない甲第一一号証の四及び五、証人岡林千鶴子、同内田裕庸及び原告本人尋問の結果により成立が認められる甲第二号証の一(本件(一)、(二)及び(四)の土地建物の売渡証書)並びに証人岡林千鶴子及び同内田裕庸の各証言によると、右売渡証書は、原告の依頼で右岡林がタイプ印字し、昭和五六年三月二〇日原告が被告内川とともに内田十七司法書士事務所を訪れ、同人の補助者である内田裕庸が甲第二号証の一(右売渡証書)の不動産の表示の本件(一)土地記載部分に「一、雑種地参八八m2」と書き加えたこと、一方で四つの物件について削除したこと、それらの作業の際、被告内川もその場にいたが何らの異議も述べていないこと、右内田裕庸が安芸市役所で本件(一)、(二)の土地建物の固定資産評価証明書の交付を受けていることが認められる。

抹消された四つの物件は、前掲甲第七号証の三及び五並びに原告本人尋問の結果によると、道路敷となっていたり(一三九八番八)地目も畑であったり(本件(三)土地)登記名義が前主のままであったり(本件(五)土地)、被告内川の父名義の土地であったりと(岩家の土地)、いずれも削除するに足る相当な理由があるのであって、これに照らせば、本件(一)土地記載部分に「一、雑種地参八八m2」と書き加えるに足る事情があったというべきであり、右の被告内川が異議を述べていないこと、右内田裕庸が所有権移転登記手続のため本件(一)及び(二)の土地建物の固定資産評価証明書の交付を受けてきたこと、これに加え、成立に争いのない甲第三及び第八号証(本件(一)及び(二)の土地建物の権利済証)を原告が所持していることをも併せ考えれば、本件(一)及び(二)の土地建物が本件売買の対象であり、同月二三日被告内川の意思に従って本件(一)、(二)及び(四)の土地建物の所有権移転登記手続がなされたとの原告の請求原因3に沿う供述は信用することができる。

3. 以上によれば、請求原因1乃至3についての原告の供述は信用しえ、これを認めることができる。そうすると、本件(一)及び(二)(本件(七)建物を含む)の土地建物の所有権は原告に存することとなる。

さらに付言するならば、成立に争いのない甲第五号証の一、二、及び第六号証並びに証人中山日和の証言及び原告本人尋問の結果によれば、原告は本件売買の残代金を請求原因6記載のとおり支払ったことが認められ、原告は買主としての義務はすべて履行したと言うべきであり、被告内川は本件(一)及び(二)の土地建物の所有権について争うべき何らの根拠もないことになる。

これに対し、被告内川は、本件(一)土地及び本件(二)建物中の(七)の建物は本件売買の対象となっていない旨供述するものであるが、<1>前記のとおり原告が本件(一)及び(二)(本件(七)の建物を含む)の土地建物の権利済証を所持していることが認められるところ、被告内川は、本件(一)土地の権利済証については、昭和五五年一二月二八日原告が勝手に持ち去った旨供述するが、成立に争いのない甲第一九号証の一によれば被告内川が、その後右書面を使用して抵当権設定登記をしていたことが認められるのであって、被告内川の右供述は虚偽と言わざるを得ないこと(その後、昭和五六年二月末日ころ原告が持ち去った旨主張するが、主張に一貫性がないばかりか、その証拠もない。)<2>本件(七)建物については一棟のうちの増築部分を除いて売ること、しかも所有権移転登記を経た後に区分所有の登記をするつもりであったというのは不自然であること、<3>前掲甲第一及び乙第一号証によれば、乙第一号証にのみ本件(七)建物を削除する罫線が引かれ、しかも何の訂正印も押されていないが、これについての合理的説明が無いこと、<4>前掲甲第一及び乙第一号証によれば、当初、内金が二〇〇万円であったにもかかわらず、その後の昭和五六年一月三〇日、さらに被告内川の申し出で、原告が一五〇万円支払いながら、何らの条件も提示も無かったというのは不自然であること、<5>訴外中山に対する債務は一五〇万円であると供述しながら、一二三〇万円の受取を同人に委ねていること、等によれば信用することができない。

また、前記認定に反する証人永田敏雄、同横田博文、同内田裕庸、同中山日和の証言部分は信用することができず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

三、前掲甲第七号証の二及び原告本人尋問の結果によれば、被告内川は本件(二)建物の南側三階部分を占有しているが、一棟の建物を占有しているものというほかなく、右証拠によって認められる事実即ち本件(二)建物がドライブインで居住部分も備わった床面積約三五〇平方メートルの木造亜鉛メッキ鋼板、スレート葺三階建の建物で、当初被告内川が一か月二〇万円で賃借してもよいと言っていたこと、訴外永田敏雄が一か月一五万円で賃借したことに照らすと賃料相当額は少なくとも一か月一〇万円と認めるのが相当であり、請求原因8の事実を認めることができる。

四、次に、被告岩佐に対する請求について判断する。

本件(一)土地について請求原因4記載の本件抵当権設定登記及びこれに基づく抵当権者被告岩佐の抵当権移転の附記が存することは当事者間に争いがない。そこで、抗弁、再抗弁について検討する。

前記二で認定したとおり本件(一)土地が原告、被告内川間の売買対象となった以上、原告としては、その抵当権設定登記が抹消されることを前提にして買い受けたと認めるのが相当で(前掲甲第一号証の第五条)、証人中山の、原告から一二三〇万円の支払いを受ければ訴外〓口の被告内川に対する債務を消滅させ、本件抵当権設定登記を抹消すると原告に約し、昭和五六年五月二六日高知信用金庫安田支店前の喫茶店で、原告から右金員の支払いを受けた旨の証言を併せ考えると、原告、被告内川、訴外中山の三者間で請求原因5記載の合意があり、本件抵当権設定登記抹消のため訴外中山(訴外〓口の代理人)に一二三〇万円支払った旨の原告の供述は信用することができ、これによると、本件抵当権設定登記の前提となる訴外〓口の被告内川に対する債権は消滅したというべきである。

本件抵当権設定登記を前提として昭和五六年五月二七日被告岩佐のために抵当権移転の附記登記がなされていることは当事者間に争いがなく、官署作成部分について成立に争いのない丙第一号証によれば同日付けの抵当権移転の登記済印が存することが認められるが、仮に、右抵当権移転の附記登記のとおり訴外〓口から被告岩佐へ債権譲渡がなされ、抵当権も移転したとしても、<1>債権譲渡による抵当権移転の附記登記については債権の譲渡人及び譲受人間の合意で足り、債務者の承諾は要件ではないので丙第一号証の抵当権移転の登記済印の日付をもって被告内川の承諾に確定日付が存するとはいえないし、<2>確定日付のある承諾と解しても、第三者に対抗しうるのは五月二七日以降であって、いずれにしても前日の二六日に弁済されている以上、被告岩佐は、被告内川の承諾をもとに抵当権移転の附記登記をもって抵当権が消滅してないとは第三取得者である原告に対抗できない。(鑑定人荒居茂夫の鑑定の結果及び被告岩佐の原告本人尋問の結果によれば、訴外中山(訴外〓口の代理人)から債権を譲り受けるべく被告岩佐が訴外中山に五五〇万円支払ったこともあながち否定できないが、前記のとおりであって被告岩佐が債権を譲り受けていたとしても原告に対抗できないのである。)

五、以上によれば、被告内川は、原告に対し、本件(一)、(二)の土地建物の所有権が原告に存することを認めるべきであり、本件(二)建物を明け渡すとともに、遅くとも原告が本件売買契約上の義務をすべて履行した翌日の昭和五七年四月二八日から明渡しずみまで一か月一〇万円の損害金の支払いをすべきであり、被告岩佐は、原告に対し本件抵当権設定登記を抹消すべきことになる。

第二、第二事件について

請求原因1乃至3の事実は当事者間に争いがない。

抗弁事実(原告が本件(一)及び(二)の土地建物を被告内川から買い受けたこと)は前記第一の二のとおりであって、これを認めることができる。従って、被告内川の請求は理由がない。

第三、結論

以上の次第で、原告の被告内川及び被告岩佐に対する第一事件請求はいずれも理由があるのでこれを認容し、被告内川の第二事件請求はいずれも理由がないのでこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

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