鳥取地方裁判所 平成21年(む)73号 決定 2009年6月19日
主文
本件請求を棄却する。
理由
第1本件請求の趣旨及び理由
本件請求の趣旨及び理由は弁護人作成の裁定請求書記載のとおりであるが,要するに,弁護人が検察官に対し,刑事訴訟法(以下「法」という。)316条の15に基づいて,別紙証拠目録記載の各証拠につき類型証拠の開示を請求したところ,検察官は,別紙証拠目録(略)1の証拠は開示済みの証拠を除いて不存在,同目録2の証拠については請求対象が不特定であるとした上で,不存在であると任意に回答し,いずれも不開示とした。これに対し,弁護人が,検察官の回答は警察発表に関する報道の内容と異なっており信用できないなどとして,本件裁定を求めたというものである。
第2当裁判所の判断
1 法316条の26第1項の証拠開示命令が認められるためには,開示を求められた証拠が存在することがその前提となる。そして,当裁判所からの求意見に対し,検察官からの回答は,前記第1とおおむね同様であったが,さらに平成21年6月18日付けで追加提出された意見書によれば,当初の意見を述べるに際しては,送致済み記録を精査し,警察に対し未送致証拠の問い合わせを行ったものであるとした上で,倉吉警察署における記者発表の内容に関しては,記者会見に及んだ警察官は,報道記者に対し,司法解剖での検査を説明するために「病理学検査」ないし「検査」といった言葉を用いたに過ぎないなどとしている。弁護人が開示を求める証拠については,報道発表のとおり存在するのであれば,検察や警察が敢えて秘匿しなければならないような性格のものではないことに加え,前記報道内容に係る意見書の説明に殊更に不自然な点も認められないことに照らすと,検察官による前記回答の信用性に疑問を抱かせるような事情を見出すことはできない。
したがって,別紙証拠目録記載の証拠はいずれも存在しないと判断すべきである。
2 よって,本件請求は理由がないから,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 小倉哲浩 裁判官 空閑直樹 裁判官 野口登貴子)