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鳥取地方裁判所倉吉支部 昭和39年(ワ)68号 判決 1967年11月20日

主文

被告は、原告竹本長保に対し金六三九、九〇〇円およびこれに対する昭和三九年七月七日から完済まで年五分の割合による金員を、原告竹本初恵に対し金一、三〇六、八〇〇円およびこれに対する前同日から完済まで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。

原告らのその余の請求を棄却する。

訴訟費用を三分し、その二を原告らの負担とし、その一を被告の負担とする。

この判決は、原告ら勝訴部分に限り、原告竹本長保において金二〇万円、原告竹本初恵において金四〇万円の担保を供するときは、それぞれ仮りに執行することができる。

事実

原告ら訴訟代理人は、「被告は、原告竹本長保に対し金一、八五四、九〇〇円およびこれに対する昭和三九年七月七日から完済まで年五分の割合による金員を、原告竹本初恵に対し金四、六〇六、八〇〇円およびこれに対する前同日から完済まで年五分の割合による金員を、それぞれ支払え。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、次のとおり述べた。

一、原告竹本長保(以下原告長保という。)は、別紙第一目録記載の土地(以下第一物件という。)を、原告竹本初恵(以下原告初恵という。)は、別紙第二目録記載の土地(以下第二物件という。また、第一、第二物件を合わせて、本件土地という。)を、それぞれ所有していた。

本件土地は、いずれも倉吉都市計画街路用地であつて、その都市計画については、昭和二三年五月二〇日建設院告示第二一五号による内閣総理大臣の計画街路の決定があり、その後執行年度割の変更を経て、昭和三九年一月一四日本件土地につき、土地収用法三三条により鳥取県告示第七号をもつて鳥取県知事の土地細目の公告がなされた。

起業者である被告は、その所有権取得のために、原告らと同法四〇号の規定による協議を行つたが不調となつたので、都市計画法二〇条の規定により、昭和三九年二月一九日収用土地の区域および収用の時期について建設大臣の裁定を求め、同年三月二三日付をもつて、本件土地を倉吉都市計画街路(二等大路第一類第一号線、倉吉上井停車場線)事業の用に供するため収用し、その時期を鳥取県収用委員会の当該収用に係る損失補償の裁決があつた日から起算して一五日目とする旨の裁定を受けた。

二、被告は、同年同月二五日鳥取県収用委員会(以下収用委員会という。)に対し、本件土地の損失補償についての裁決の申請をした。これに対し収用委員会は、同年六月二二日第一物件につき原告長保に対する損失補償額を金五七五、一〇〇円(三・三平方メートル当り七、一〇〇円)、残地補償額を金三一、八〇八円、第二物件につき原告初恵に対する損失補償額を金一、三三三、二〇〇円(三・三平方メートル当り一〇、一〇〇円)とする旨の裁決をした。

三、しかしながら、収用委員会が裁決した右損失補償額は低すぎる。

本件土地は、倉吉上井間に通じる産業道路に面した準宅地といえるものであつて、近時発展の一路をたどりつつあるところに所在し、地価昂騰し、近傍類地の売買価格は三・三平方メートル当り五万円を下らない。その取引の実例は、別紙取引価格表の記載のとおりである。

以上の状況に照らせば、第一物件の適正な価格は少なくとも三・三平方メートルにつき三万円、第二物件の適正な価格は少なくとも三・三平方メートルにつき四五、〇〇〇円である。

四、被告は、本件土地がいずれも昭和二三年以来街路用地と決定され、建物の建築等ができない性格の土地となつていたのであるから、そうでない近傍地の売買価格と本件土地の価格とは異なると主張するが、そのような解釈は土地収用法の補償の趣旨に反するものである。

五、よつて、第一、第二物件の適正な損失補償額の単価は前記のとおりであるから、第一物件の補償額は二四三万円、第二物件の補償額は五九四万円でなければならない。

被告に対し、原告長保は、第一物件につき右二四三万円から収用委員会の裁決した五七五、一〇〇円を差引いた残額一、八五四、九〇〇円、原告初恵は、第二物件につき右五九四万円から収用委員会の裁決した一、三三三、二〇〇円を差引いた残額四、六〇六、八〇〇円と、それぞれ収用の時期の翌日である昭和三九年七月七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払いを求めるゆえんである。

被告代理人は、「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、答弁として次のとおり述べた。

一、請求原因一、二項の事実は認める。同三項の事実のうち、本件土地がいずれも倉吉市の中心街と上井駅とを結ぶ幹線道路に面した準宅地というべき土地であることは認める。収用委員会の裁決した損失補償額が低すぎるとの点は否認する。裁決による補償額は適正な価格である。

別紙取引価格表の記載のうち、2、4、6の事実は認めるが、その他は知らない。なお、8の土地は本件土地の近傍類地に当らない。

二、本件土地は、いずれも昭和二三年五月都市計画街路の決定後は街路用地として使用される運命にあり、建物の建築等の許されない土地として特定されるもので、それらの土地が街路用地として提供され街路の拡張が実現した後の利用価値を見越して行う近傍土地の売買価格は、右用地の価格とは自ら異るべきものである。

証拠(省略)

理由

一、請求原因一、二項の事実は、当事者間に争いがないから、本件土地につき収用委員会の裁決した損失補償額が相当であるか否か、もし相当でないとすれば、いかなる金額をもつて適正な損失補償額とすべきかを判断する。

まず、被告は、本件土地は昭和二三年五月以後街路用地と決定され、建物の建築等の許されない土地として特定されているものであるから、その価格は、そうでない近傍地の取引価格とは自ら異なるべきであると主張するが、当裁判所は、土地を収用する場合の損失補償額は、当該土地が収用されるべく予定されているという事実を考慮の外に置いて、収用されない近傍類地と同等の価値を有するものとして評価すべきものと考える。

すなわち、土地収用法七二条にいう「相当な価格」とは、その土地の通常の交換価格、あるいは一般有用能力を指すものであつて、それは、当該土地が権利者によつて自由に利用され、一般取引市場における通常の取引の対象となり得るものと仮定して評価されるべき価格である。土地収用という行政処分は、事業の認定によつてその手続が開始されるのであるが、ある土地が事業の認定によつて収用の目的物と指定され告示されれば、以後その土地について、自由にかつ無期限に利用できることを前提とする通常の取引がなされないことは、当然である。そして、このような結果が生ずるのは、収用という行政処分に伴なう反射的な利益または不利益としてではなく、収用処分自体に本来的に由来するものとしてである。したがつて、損失補償額の算定につき被告の主張するような考え方をとれば、当該土地が収用されなければ被収用者が当然享受しえたはずの利益の一部を収用処分により対価なくして奪う結果となるのであつて「完全な補償」を要求する土地収用法の趣旨に照らし、不当といわざるをえない(都市計画事業の内閣による認可は、都市計画法一九条により、土地の収用に関し、土地収用法にいう事業の認定とみなされる)。

二、そこで、収用委員会の裁決した損失補償額について検討する。

成立に争いのない乙第六号証の一によると、収用委員会は、本件土地の損失補償額を決定するにつき、被告がすでに本件道路用地として原告ら以外の土地所有者から任意に買収した近傍類地の買収価格(以下任意買収価格という。)を勘案し、かつ証人山根正二の証言により真正に成立したことが認められる乙第一二号証および証人竹田賢治の証言により真正に成立したことが認められる乙第一三号証の一、二の各鑑定書を参酌して、これを決定したことが認められる。

まず、任意買収価格を資料とすることの当否につき考えるに、同一事業に供するため任意に買収した土地の価格は、当該事業の用地で任意買収のできない所有者の土地を収用する場合の補償額の決定につき、土地収用法七二条にいう近傍類地の取引価格として、重要な資料となるであろう。ただし、それは、当然のことながら、任意買収価格自体が同条にいう相当な価格であることを前提とした場合のことである。この点の検討を経ないで、単に任意買収価格であるということだけでそれを収用補償額決定の指標とすることはできない。そして、ある公共事業の用地として多数の所有者から用地を買収するにつき集団または個別の交渉によつて決定される任意買収価格は、政治的その他もろもろの要素が絡み合つて、一対一の自由取引市場における土地売買価格の決定とは異つた様相を呈することが多々あることは、経験則上明らかである。したがつて、かりに、大多数の被買収者が何らかの要因から、収用法七二条の予定する相当な価格を下廻る価格で買収に応じた場合、それに不服の一部の者に対する収用損失補償額を決定するにつき右任意買収価格は、ほとんど参考資料となり得ない。被買収者相互間の公平も重要であるが、法の要求する公平は、買収された者と買収されなかつた者との間の公平である。

ところで、その方式により公務員が職務上作成したものと認められるから真正に成立したものと推定される乙第九号証、成立に争いのない乙第一一、第一五号証によると、本件道路用地の買収価格の算定につき起業者である被告の事務担当者の考え方は、一貫して、すでに道路用地と決定されている土地は自由市場における取引の対象となり得ないものであつて、道路用地外の土地とは価格の上昇率も異なり、道路用地の買収価格を決定するについては、そうでない土地の取引価格は資料となしえないというものであることが認められる。このような考え方は、土地収用法七二条にいう「相当な価格」の解釈としては誤りであることは、さきに述べたとおりである。

そうだとすると、前記任意買収価格は、起業者側の右のような誤つた考え方に影響されて、「相当な価格」を下廻つた線で妥結された疑いが強いといわざるを得ない(証人松本遠治の証言によつても、「道路敷地の価格としては無理ない価格」といつており、その片鱗がうかがえる。しかも起業者側は、収用委員会に対し、被買収者相互間の公平を強調して本件土地の補償額決定につき任意買収価格に傲うべきことを主張している。

したがつて、収用委員会が、任意買収価格の内容につき十分な検討を加えないで(加えた形跡は認められない)、本件土地の補償額の算定につき任意買収価格を勘案したことは、裁決された補償額が相当な価格であることにつき疑いを抱かせるものである。

次に、収用委員会の参酌した鑑定について検討する。

乙第一二号証について、証人山根正二の証言によると、右鑑定の根拠は、主として公共用地、殊に本件道路用地の任意買収価格と、本件土地が道路予定地であるという点にあることが認められる。前者については、任意買収価格を本件土地の「相当の価格」認定の資料とすることの妥当性につき疑いのあること前述のとおりであり、後者については、本件土地が道路予定地であることは、その価格認定につき考慮の外に置かなければならないことは、さきに述べたとおりである(もつとも、同証言によると、道路予定地であるということは、その価格認定にプラスになるというが、その根拠は明らかにされておらず、いかなる意味でプラスになるのか理解できない)。また、同証言によれば、右鑑定には、道路予定地以外の近傍地の取引事例は参酌されていないことが認められる。

したがつて、右鑑定は、本件土地の損失補償額算定の資料としては、適切でない。

乙第一三号証の一、二について。証人竹田賢治の証言によると、右鑑定に当つては、任意買収価格も、本件土地が道路予定地であることも考慮に入れていないことが認められ、その限りでは正当である。しかるに、鑑定の結果である金額において、鑑定の根拠が異なる乙第一二号証と大差がなく、ほぼ類似の鑑定根拠によると認められる鑑定人安達敏夫の鑑定結果(後述)と大きな開きがあるのはなぜか。この点の合理的な解明ができない限り、乙第一三号証の一、二の鑑定に全幅の信頼を置くことができない。

右鑑定については、右の点につき次項でもう一度検討するが、以上述べた理由により、収用委員会が本件土地の損失補償額決定の資料としたものにはいずれも欠点があり、したがつて、収用委員会が裁決した補償額が法の要求する相当な価格であると認めるには至らない。なお、本件訴訟に提出されたその他の証拠も収用委員会の裁決金額の相当性を立証するに足りないことは、次項に述べるとおりである。

三、では、いかなる金額をもつて本件土地の相当な価格とすべきであるか。

原告は、その主張する金額の根拠として、近傍地の取引事例を列挙する。そして、別紙取引価格表の2、4、6の事実は当事者間に争いがなく、証人黒川寿晴の証言により同表7の事実、鑑定人安達敏夫の尋問結果により同表5の事実、原告初恵本人尋問の結果により同表1、3の事実、成立に争いのない甲第七、八号証により同表8の事実が、それぞれ認められる。

しかしながら、何が近傍類地の取引価格であるかの認定は、複雑かつ困難であつて、個々の取引の需要側と供給側との事情その他その取引に内在する諸種の要因を明らかにした上でなければ決定できないものである。右取引価格表に表示された僅か八個の外形事実のみで(しかも各金額にも相当の開きがある)、これを近傍類地の取引例として、原告主張の金額を採用することはできないのであつて、単に一応の参考となるに過ぎない。したがつて、「相当な金額」を決定する主たる資料は鑑定以外にない。

そこで、本件の証拠にあらわれた各鑑定を検討する。乙第一二号証が採用できないことは、前述のとおりである。次に、鑑定人岡田憲一の鑑定結果を検討すると、同鑑定は、本件土地は道路予定地という公法上の制約によつて自由な使用、収益、処分の権能を持ち得ないものであつて、自由取引市場には存在しえないものであり、道路予定地でない周辺地の取引価格を参酌して本件土地の価格を認定することは誤りである、本件土地の価格は破壊された価格として認識せざるを得ないという基本的立場に立つていることが認められる。そして、この立場から、基準時点とした昭和三六年一二月一七日から求められた鑑定時点である昭和三九年六月二二日への修正につき、自由市場における全国的統計による価格推移を一四〇五倍、本件土地周辺地の価格推移を数倍としながら、本件土地については、その上昇率を僅か年六パーセントとしているに過ぎない。しかしながら、右のような立場は、土地収用法七二条にいう「相当な価格」を考える場合の立場としては誤りであることは、さきに述べたとおりである。したがつて、右岡田鑑定は本件に適切でなく、到底採用できない。

次に、鑑定人田栗栄の鑑定結果について。同鑑定人の尋問の結果によると、右鑑定は、原告らの主張する取引事例のほか、任意買収価格を参酌しかつ本件土地が道路予定地であることを考慮に入れてなされたものであることが認められる。右観点は、乙第一二号証の鑑定および岡田鑑定とその立場を同じくし、その立場に立つ鑑定が本件に適切でないことは、すでに述べたとおりである。のみならず、田栗鑑定は、乙第一二号証および岡田鑑定と立場を同じくしながら、その結果において大きな開きがあるのであるが(本件証拠上あらわれた五つの鑑定結果のうちで最も金額が大きい)、その拠つて来たる理由につき十分に納得できるものが認められない。また、田栗鑑定以外の四つの鑑定は、いずれも第二物件の方が第一物件より市街地に近いところから、両物件の価格に差等を設け第二物件の方を高くしているのであるが、田栗鑑定のみ両物件の間に差がなく、異質のものといわざるを得ない。その根拠についてもまた十分の説明がなされていない。以上の理由により、田栗鑑定もにわかに採用できない。

最後に、乙第一三号証の一、二および鑑定人安達敏夫の鑑定結果について検討する。乙第一三号証の一、二が、任意買収価格および本件土地の道路予定地であることを考慮に入れないでなされた鑑定である点において、本件の鑑定としては正当な立場であることは、さきに述べた。鑑定人安達敏夫の尋問の結果によれば、同鑑定人の鑑定も右とほぼ同じ立場に拠るものであることが認められる。しかるに、鑑定結果としての金額において、乙第一三号証の一、二は安達鑑定の約半額であり、むしろ立場を異にする乙第一二号証および岡田鑑定に近接しているのは、なぜであろうか。

思うに、証人竹田賢治の証言によれば、乙第一三号証の一、二の作成者である同証人および松本一寿は、いずれも法務局において登記事務に従事する法務事務官であり、右鑑定は、同人らが職務上普段から一般的に売買実例などを参酌して把握している土地価格の基準に基づき、本件土地の現況を調査したうえ、職務上の知識と経験によつて算定したものであること、右鑑定に際し、具体的に本件土地周辺の取引価格を調べてはいないこと、同証人は、一般的に最近土地はほとんど値上りしていないと認識していることが認められる。これに対し、安達敏夫の尋問結果によると、同人は不動産取引業者で、同人の参加している会社が本件土地の近傍に所在するところから、第二物件の近くにある厚生病院ができて以来本件土地周辺の土地に関心をもつていたこと、同人の鑑定は、別紙取引価格表の事例をも含め、本件土地周辺の個々の取引事例を具体的に検討して取捨選択した資料にもとづいてなされていること、同人は、本件土地周辺の地価が昭和三七年以降急騰を続けていると認識していることが認められる。このような、竹田証人と安達鑑定人のそれぞれの職業、立場およびそれに基づく認識の差が、前記鑑定結果の差となつたものと考えられる。法務事務官よりも不動産取引業者の方が地価の変動には敏感であろうといえるし、また根拠として資料の具体性の点でも、安達鑑定の方が乙第一三号証の一、二より優るということができる。

のみならず、別紙取引価格表3、5、8等の各事例に徴しても(これらの事例にはそれぞれ特殊事情があるにせよ)、また、岡田鑑定が、昭和三六年一二月から昭和三九年六月までの間に本件土地周辺の道路予定地でない土地の価格が数倍に上つたとし、他方本件土地については右期間中の値上りにつき年六分の割合しか認めないで算出した金額が、乙第一三号証の一、二の金額と近似していることに照らしても、乙第一三号証の一、二の鑑定は、低きにすぎる感を免れ得ない。

以上の検討の結果、当裁判所は、安達鑑定を本件に最も適切妥当な鑑定として採用する。ただし、同鑑定が第一物件のうち二七〇の一の土地を三・三平方メートルにつき一五、〇〇〇円とし、二七〇の二の土地を同一二、〇〇〇円とし、その違いにつき、同鑑定人尋問に結果によれば、後者は残地によつて得る利益があるからというのであるが、この考え方は不当である。したがつて、後者についても単価を一五、〇〇〇円とすべきである。

四、以上の理由により、本件土地の収用につき被告が原告らに補償すべき相当な価格は、第一物件については三・三平方メートル(一坪)につき一五、〇〇〇円、第二物件については、三・三平方メートル(一坪)につき二〇、〇〇〇円の各割合で計算した金額であると認める。したがつて、被告は原告長保に対し、第一物件の損失補償金として金一、二一五、〇〇〇円を支払うべきところ、収用委員会の裁決した金額が五七五、一〇〇円であるから、被告はなおその差額六三九、九〇〇円とこれに対する収用の時期の翌日である昭和三九年七月七日から完済まで民法所定年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があり、また原告初恵に対し、第二物件の損失補償金として金二、六四〇、〇〇〇円を支払うべきところ、収用委員会の裁決した金額が一、三三三、二〇〇円であるから、被告はなおその差額一、三〇六、八〇〇円とこれに対する前同様の遅延損害金を支払う義務がある。

よつて、原告らの本訴請求は右の限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は失当であるから棄却することとし、民訴法九二条、九三条、一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

別紙

第一目録

倉吉市巌城字安田開二七〇番の一

田    一三八平方メートル(四二坪)

同所二七〇番の二

田    一二八平方メートル(三九坪)

第二目録

倉吉市巌城字土井の上三六〇番の二

田    三四三平方メートル(一〇四坪)

同所三六四番の一

田    九二平方メートル(二八坪)

取引価格表

<省略>

(備考)各番号該当地は次の図面のとおり。

<省略>

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