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鳥取家庭裁判所 昭和53年(少)245号 決定 1978年8月21日

少年 M・S子(昭三七・五・二三生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

1  非行事実

少年は、わがままで反省心に乏しく、昭和五二年七月初旬から鳥取市内の盛場において、夜遊びするうち暴力団員と親密となつて外泊を続け、同組員の営む露店商を手伝い、家出同様の状態となつて、家庭へ連れ戻そうとする保護者に反抗し、さらに同年九月二九日から同年一〇月三日まで登校もせず家出した。その後少年は、進学できなかつたため昭和五三年三月二〇日頃、同年六月二一日頃、同年七月四日頃の三回にわたり二日ないし五日間の無断外泊をなし、交際する仲間も売春、シンナー吸入等の非行歴を有する者達であつて、しかも本件第一回審判期日後の同年八月三日に至り、以前から親交のあつたA(一七歳)と会うべく再び家出して米子市に出かけ、同市内の喫茶店で稼働していたもので、その性格又は環境に照して、将来罪を犯す虞がある。

2  適条

少年法三条一項三号イ、ロ、ハ

3  処分理由

少年は、中学三年になつてから不良仲間との交際をきつかけに夜間外出、外泊、家出と進展し、異性との性交渉も持ち、殊に高校進学ができなかつた後は就職しても続かず、保護者である養父母の言に従わず、自己の思いのまま刹那的行動に終始してきた。少年は、幼少年期を通じて養父母に大事に養育されてきたが、少し甘やかされたきらいがあり、保護者、学校側に不良交友を断ち切らせる時期、方法に誤りがあつたものと考えられる。この少年は、非行歴や犯罪性のある者への接近があるも、本人の非行性は高くはないので、当裁判所は在宅保護の可能性をみるべく、二一日間の観護措置後の本件第一回審判期日において、少年からの申出による「自宅に帰つて従来からの不良交友を切り、美容師になるべく努力する」との誓約の実行性をみたが、帰宅した直後から、その誠意は認められず、約束を無視して再び家出した。これは、少年がきわめてわがままで、淋しがりやである一面社会的に未熟であるため、Aへの慕情を棄て難く、これに対する障害など全く無視してしまう人格に由来し、もはや在宅保護では矯正することが困難であると思料する。そこで、この際施設に収容して、生活指導を中心とした処遇により、これまでの自己の行動を反省させ、その将来を考えることのできるよう性格矯正をする必要がある。よつて少年を中等少年院に送致することとし、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項、少年院法二条三項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 藤本清)

処遇勧告書<省略>

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