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鹿児島地方裁判所 昭和42年(わ)5676号 判決 1967年5月08日

本店所在地

鹿児島市上荒田町二、一三〇番地

株式会社第五富士

(代表取締役 山下三雄)

本籍

鹿児島県谷山市上福元町四、五五〇番地

住居

鹿児島市鴨池町三二三番地

会社代表取締役

山下三雄

昭和三年一二月二四日生

被告人山下三雄に対する所得税法違反、法人税法違反、被告人株式会社第五富士に対する法人税法違反各被告事件につき当裁判所は検察官内宮光一出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人山下三雄を懲役八月に

被告人株式会社第五富士を罰金三〇〇万円に各処する。

被告人山下三雄に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人山下三雄は昭和三一年頃から鹿児島市内においてパチンコ遊技場を経営していたが、同三九年一月七日これを法人組織とし、同市上荒田町二、一三〇番地に本店を置き資本金二〇〇万円の株式会社第五富士を設立してその代表取締役に就任し、右事業全般を統轄掌理していたものであるところ、かねて右事業の将来に不安を感じていたところから他産業への転換等に備え、その売上金の一部を除外して鹿児島市農業協同組合その他の金融機関に隠し預金をする等の方法により、その所得の一部を秘匿した結果、

第一、昭和三九年三月一四日、所轄鹿児島税務署において、同税務署長に対し、昭和三八年分の被告人山下の総所得金額は一四、九八三、二〇六円であつて、これに対する所得税額は、六、六四九、一〇〇円であるのに拘らず、同所得金額は五、一九七、三八六円、同所得税額は一、六三二、三二〇円である旨過少申告し、右申告税額との差額五、〇一六、七八〇円の所得税を逋脱し、もつて不正な行為により所定の所得税額につき所得税を免れ、

第二、(一)昭和四〇年二月二七日、前同税務署において、同税務署長に対し、昭和三九年一月七日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の総所得金額は、三〇、三〇八、四一六円であつて、これに対する法人税額は一一、〇二六、九五〇円であるに拘らず、同所得金額が九、四六七、一二七円、これに対する税額が三、一一三、八〇〇円である旨過少申告し、その差額七、九一三、一五〇円の法人税を逋脱し、

(二)昭和四一年二月二八日、前同税務署において、同税務署長に対し、昭和四〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の総所得金額は二〇、〇二三、二八九円であつて、これに対する法人税額は、七、二一〇、〇二〇円であるに拘らず、同所得金額が九、九二七、一〇六円、これに対する税額が三、四七四、四七〇円である旨過少申告し、その差額三、七三五、五五〇円の法人税を逋脱し、

もつて、いずれも不正の行為により所定の法人税額につき法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人の当公廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の収税官吏に対する各質問てん末書

一、熊本国税局収税官吏小田信義作成の告発書二通並びに脱税額計算書三通、脱税額計算書説明資料二綴

一、山下勝久の検察官に対する供述調書

一、山下勝久、折田正義、山下兼男、東郷初夫、佐藤欣一、田中国吉、内田愛吉の収税官吏に対する各質問てん末書

一、岡山秀晴、赤崎一春、上村雄吉各作成の上申書

一、押収してある定期預金メモ、同名寄メモ各一綴、定期積金証書三通、定期預金証書一通、普通預金元帳二通、定期預金元帳三枚、定期積金証書一通、定期貯金勘定票、同貯金証書綴各一綴、法人税申告書綴二綴、青色申告者書類綴一綴、定期貯金証書八枚、索引簿(裏)二枚、定期貯金勘定票一綴、創立四〇周年記念定期預金証書二枚、定期積金元帳一枚(昭和四二年押第三七号の一、二、三の1、2、四、五、六の1、2、七ないし二九)

(法令の適用)

被告人山下の判示第一の所為は昭和四一年法律第三一号所得税法附則三五条、同法律により改正される以前の所得税法六九条一項に、判示第二の(一)の所為は昭和四〇年法律第三四号法人税法附則一九条、同法律により改正される以前の法人税法四八条一項に、同(二)の所為は現行法人税法一五九条一項に各該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において同被告人を懲役八月に処し、なお判示脱税額等は既にこれを納入し改悛の情顕著であることその他諸般の事情を考慮し、同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予すべく、被告会社に対してはその代表者である被告人山下が判示のように被告会社の業務に関し前記各法条に該当する違反行為をしたのであるから、前記旧法人税法五一条一項、現行法人税法一六四条一項にそれぞれ則り前記各法条所定の罰金刑を科すべく、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内において被告会社を罰金三〇〇万円に処することとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 徳松巌)

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