鹿児島地方裁判所名瀬支部 平成18年(モ)80号 決定 2006年12月06日
京都市下京区<以下省略>
申立人(被告)
アイフル株式会社
同代表者代表取締役
A
鹿児島県奄美市<以下省略>
相手方(原告)
X
同訴訟代理人弁護士
髙橋広篤
主文
本件移送申立てを却下する。
理由
第1申立ての趣旨及び理由
申立人は,基本事件につき,訴額が140万円以下であり簡易裁判所の事物管轄に属するとして,民事訴訟法16条1項に基づき,名瀬簡易裁判所への移送を求めた。
第2当裁判所の判断
基本事件は,相手方(原告)が,申立人(被告)に対して,申立人からの借入金に関して利息制限法を超える利息の支払を行ったとして,不当利得返還請求権に基づき,過払金及び利息等の支払を求めた事案である。そして,基本事件において予想される主たる争点は,貸金業の規制等に関する法律43条所定のみなし弁済の成否,民法704条所定の悪意の受益者の該当性,過払金の返還に関して同条前段に基づき支払うべき「利息」の利率如何(商事法定利率である年6分であるか,民法所定の年5分であるか)等である。
そこで検討すると,これらの争点の中には,解釈上争いのある法律問題も含まれているため,ある程度慎重に弁論を重ねる必要があると考えられる。そして,現に,相手方は,基本事件に関しては,簡易裁判所における簡易な手続を望まず,地方裁判所における慎重な審理及び裁判を望み,敢えて,簡易裁判所の事物管轄に属する同事件を地方裁判所に提起しているのである。他方,基本事件が提起された当支部は,移送先である名瀬簡易裁判所と同一庁舎内にあり,基本事件がこれらの裁判所のいずれで審理されても,当事者や証人等の出頭の便宜に違いはない。これらの事情を考慮すると,基本事件については,地方裁判所たる当支部において審理及び裁判をするのが相当であるから,申立人の本件移送申立ては理由がない(民事訴訟法16条2項参照)。
よって,主文のとおり決定する。
(裁判官 三輪方大)